ロケットストーブ製作第四回 ロケットストーブの伝説?(作ってみてわかったこと)

ずっと作ってみたかったロケットストーブ。

2年ほど前からマニュアル本を買ったり、動画を見たりしていた。

そのころから、ぼちぼちネット上で、ロケットストーブの名前を目にするようになり、「え?ロケットストーブって何?」と、パソコンで検索しだしたのがロケットストーブを知るきっかけだった。

この「初めてネット経由で知った新しい火の燃やし方」

であるのも、なんか興味深いところでもある。

で、実際に作ってみて、マニュアル本のとおりにして助かったり、本には載っていない発見もあったりしたので書いておきたい。

まず基本、本の通りに作れば間違いない。ことを最初に言っておきたい。

ツボを押さえた良い本だ。ロケットストーブ誕生のきっかけになるエピソード(ゴミの山とポケットロケット)
もおもしろい。(あまりの寒さにガラクタをあせくって、ドラム缶の中に二本、煙突を突っ込んだのが始まりらしい。)
この本は農文協でも扱っている。

さて、その上で、ロケットストーブの伝説について検証してみたい。

ロケットストーブの利点として、

1,完全燃焼するので、灰が少ない。
2,完全燃焼するので、煙がほとんど出ない。
3,薪の量が少なくてすむ。
4,フィードチューブ(燃料供給缶)に薪を立てておくと、燃えるに従い、自重で薪が沈んでゆく。

1,については確かにその通りだろう。ただ、薪を少なく燃やす分、灰も少なくてすむという感じ。

2,も、おおむねその通り。でも最初焚き始めや、薪を追加した時にはどうしても煙は出る。当たり前か。

3,も確かにそうだ。しかし、薪が少ないと相対的に暖まるのも少ないのも事実。ガンガンに燃やしたくとも、フィードチューブが小さいとそんなに燃やせない。早く暖まりたいときは、細めの薪を次々焚くのが良いようだ。

さて、以上は概ね予想通り。

問題は4,である。

ロケットストーブといえば、フィードチューブに薪を立てて焚くのが常識?みたいになっている。

なので私も最後まで、このフィードチューブ部分をどうするか悩んだ。というか、立てて焚くのにこだわった。

確かに最初は火がきれいに横に吸い込まれてゆく。

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だが、フィードチューブが暖まり、おき火がたまってくると、薪がフィードチューブ内で燃え出す。

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燃えやすい乾いた竹などだと尚更。

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室内で本番を作ってからも、このフィードチューブ(焚き口部)をどうするか悩み、レンガを空積みにしていろいろ試してみた。

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が、しかし、結局、フィードチューブ部が暖まってくると、フィードチューブのとこで燃焼し始める。

熾き火がたまってくると奥に押し込んで、火がフィードチューブに来ないようにしてみたが、これをしょっちゅうやってないといけんのも手間である。

うーんどうしよう。

結局、薪を縦にするのはあきらめた。
どうしても火はフィードチューブ内で点いてしまうし、煙も出てくる。

いや、むしろそうなるのが、当たり前、と考え、「フィードチューブ内で、ある程度燃やしてしまう。」作戦に切り替えた。

そして、室内であるし、煙が出たり、火がはぜて火の粉が飛ぶ(杉の木は特にはぜやすい)のを閉じ込めるため、フィードチューブは完全密閉式にしてしまった。(燃焼空気は右下のエビ曲がりを通り、床下から取り入れる。)
薪を投入する時は上の赤レンガを外して投入。

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結局、これが良かった。

フィードチューブを完全密閉型にすることで、火の粉が飛んで周りを焦がす心配もなくなったし、火のそばを離れてほかの作業をしていても安心できる。そして、太い薪をどかっと突っ込んで蓋しておけば、かなりの間、勝手に燃えてくれるので、しょっちゅう火の手間をしなくてよくなったのだ。

よしよし。これでOK。

 

じゃあ結局、薪を立てる燃やし方はどうなの?

基本に戻り、もう一度マニュアル本を熟読してみる。

32ページ。「フィードチューブの缶部分の高さは、30センチより短くすること。さもないと熱い気体がそのスペースに溜まり、吸気効率が低下します。」

フィードチューブ部を高くし過ぎると、そこで煙突効果を生じ、煙が逆流するということですね。

 

次に39ページ、点火方法「・・・次に焚き付けより厚い木片(中厚)をフィードチューブが完全に一杯になるまで、追加します。そのうちに、火は後ろにある薪に点いて、燃え進んで行きます。つねに薪の底の部分に火がつき重力で薪が下に沈んでいきます。追加の薪はつねに燃えている木片の後ろにくべるようにします。もし、そうしなければ、ストーブから煙が出たり、失火する可能性があります。・・・中略・・・

薪を燃えさしの上にできるだけ密になるようにして、フィードバレル(焚き口のオイル缶)で蓋を閉めましょう。

 

さて、ここで私は新たな事に気付いた。

引用文の下線を引いたところに注目してほしい。ここの文からは薪を立てて燃やす事より、むしろ、薪の詰め方にポイントがあることがわかったのだ。

「完全に一杯になるまで、」とか、「できるだけ密に」とか、

つまり、フィードチューブ内には薪を詰めて入れろ!

という事になる。

通常の焚き火のように、隙間を開けて空気が入りやすいような置き方でなく、満員電車のごとくぎっちぎっちに薪は詰めるべし!と言っているのだ。

ははーん。

ここである。

ここがけっこうキモだ。

つまり、ロケットストーブにおけるフィードチューブ(もしくはフィードバレル)の役目は、フィードチューブ内で、多くの木質ガスを作り、それをヒートライザーに送ってヒートライザー内で完全燃焼を起こさせる、事にある。

だから、フィードチューブ部分で、隙間を開けて木を置いて焚き火をするのは本式ではない、というわけだ。

ぎちぎちに木を詰めて木質ガスを生じさせる。

焚き火をしていて、新しい薪を詰め込んでしばらくすると、黄色味がかった白い濃い煙が大量に発生し、それにボッ!と火がつく瞬間がありますね。
あれが正に木質ガスの燃焼です。

つまりああいう感じの燃え方をバーントンネルからヒートライザー部にかけて、起こさせるのが、ロケットストーブの本式の燃焼スタイルなのだろう。

これは乾留、の考えと同じですね。

なるほど。

うーんしかし困ったね、ロケットストーブ、非常に奥が深い。

どうも文がなかなか終わらない。

木質ガスを有効に燃焼することができたら、あるいはガラス窯にも使えるかも知れないではないか!?

まだまだ、書くことが増えたので、次回にしよう。

ロケットストーブと、ブリキストーブを組み合わせたハイブリッド窯や、

ロケットストーブの煙突と、木酢液の事も書きたかったのだが、それもまた。

*追記 煙突の効果 一番簡単なロケットストーブの作り方。

*追記 ロケットストーブの暖かさは?(ロケットストーブと薪ストーブの連結)

 

では。

 

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