今年(2017年)の夏は急に来た。

暑い、毎日暑い。

本当は「!」マークを付けたくなるほど暑いのだが、付けるとはなはだしく、暑い感じがするので、やめておこう。

7月になって、何も覚悟も、準備もないまま、急に暑くなったので、しばらく呆然としてしまい、
今頃からこんなに暑い筈はない、少ししたら元に戻るだろう、という、甘い見込みも外れて、ようやくあきらめ、覚悟し、本格的な夏対策を始める事にした。

ガラス工房の夏対策、第一弾は、工業用扇風機、別名「旋風鬼」を召喚する事だ。と言っても、ホコリにまみれて工房の隅に転がっているのを、引っ張り出すだけなので、名前ほど格好良くはない。

第二弾は、水風呂の準備だ。これは格好いい別名も思いつかないが、効果はものすごく、これがあればクーラーはいらない。

しかも吹きガラス工房の場合、夏は工房自体が、サウナ室と化すので、あとは水風呂があれば毎日サウナという、多分、北欧の人がうらやましがるかも知れない好環境だ。

水風呂で、たっぷりと体を冷やして、また暑い処に行くと、自分の体が氷の塊のようで、その冷たい体が暑い空気に触れて、またじわっと汗をかき出すまでの気持ちよさはたまらない。

今年もまた暑いのだろうが、これでやっと覚悟ができた。

さていつまで続くか。

ルツボは大丈夫のようだ。

底にヒビの入ったルツボだが、ヒビは大きくならず、だましだまし使っている。

さすがに満杯にするのは怖いので、2分目ほど入れて、色壺で使っているが、大丈夫なようだ。

あと、2ヶ月、いや最低一ヶ月半、もってくれればいいのだが。

今年もまだ氷河期は来そうになく、それどころか例年より暑い夏が来るそうなので、早めに火を落として夏休みとしたいが、無理だろうな。

しかしながら、幸いにして今のところ、私らの所は、去年より涼しい日が続いている。

昨年の8月に、この辺の史上最高温度37・2度を記録したのだが、今年この調子なら、去年より涼しい夏になってくれるかも知れない。

油断は禁物だが。

で、最近は、気象庁のデーターを見るのがすっかり楽しみだ。

こんなふうに。

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平均気温を表す青線が、左側の去年のグラフと比べて、今年の6月は今のところ、21度を下回っている。(緑線、筆者描く)

このまま8月まで、この楽しみが続くといいのだが。

ヒロ画廊さんに行ってきた。

ヒロ画廊さんに行って帰ってきたら、今日は何だか肌寒く、薪ストーブを焚いている。

北海道の人が「5月でもストーブを焚くよ。」と言ってて、羨ましかったのだが、うちでも薪ストーブを導入してから初の5月焚き、なのでホホがゆるむ。

ヒロ画廊さんでは天気も良く、暑いぐらいで絶好のガラス日和だった。

一筆花瓶
一筆花瓶
 

日和が良くなるとガラスもよく売れるので、寒いからと喜ぶのもいかんのだ。

ヒロ画廊の奥さんが、私の以前の展示会で買って、ご自宅で使っているガラスをいろいろ見せてくれたが、自分ではあまり変えていないつもりでも、随分と記憶とは違うものがあったりして驚く。
中には、「あれ?こんなの作ったっけ?」と全く記憶に無いものもあり、それがけっこういい感じのもので、もう一回作ってみようと思ったりする。

ふと思いつきで作ってそのまま展示会に出したりすると、そこで売れてしまい、あとで思い出せないものも結構ある。

定番作品をコツコツと作り続けていけば、そのうち、作為なく、脂身の抜けたものが出来る気がしているのだが、ふとした思いつきで、夢中に作ったものも、作為もなく、脂身もないものが出来るように思う。

ヒロ画廊 和歌山

暑い中での吹きガラスの仕事、長袖と半袖、どっちがいいのだろう?

タイトルどおりの事であるが、今年は長年の疑問を、実験してみたので書いておきたい。

が、その前に、ちょっと「汗」とか、「汗臭い」とか、「汗びっしょり」とか、苦手なんだよ~、なんかうっとうしいし、という方や、ご飯前の方は、ご遠慮願いたい。もちろんご飯中の方は言わずもがな。

毎年夏に吹きガラスの仕事をしていて、長袖と、半袖とどっちで仕事したほうが、楽なのか悩んできた。
今までは、ずっと半袖派だったのだが、土木関係の知人と呑んだ時、長袖のほうが夜、身体が楽だ。というので、一回長袖で仕事してみようかな。と思っていた。

で、やっと今年やってみた。

今年の夏、鹿児島は一ヶ月以上晴れの日が続き、毎日死ぬほど暑かったので、この実験には最適だったと言える。

とにかく吹きガラスの工房は暑い。夏は特に!当たり前だが。

工房内の中央の柱に下げた温度計は、平均して外気温より10度ほど高い。だから夏は常にかるく40度超えである。
窯の前に行くとさらに強烈な輻射熱にさらされ、うう、となる。

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吹きガラスの工房は、どこもこんなもんだろうが、ウチは作業用と、ガラス熔かし用に別々にバーナーを焚いているので、一本で兼用している所よりは暑いと思うが、夏に火を焚いたら1本も2本も暑いに決まっている。

そこで、服装に工夫をしてみて、今迄、上半身ハダカ、とか、下半身半ズボンとか、素材が麻とか、オーガニックとか、乾きの早い新素材Tシャツとか、いろいろやってきた。

が、しかし、何やっても暑いですな。

で、半ばあきらめていたのだが、上記の「長袖は夜、楽」の話を聞いて最後の望みが出て来たのですね。

「ひょっとして」  と思うじゃないですか。「ひょっとしたら少しは楽になるかもしれない」と。

で、まあやってみた訳ですよ。今年の夏。

さて、手っ取り早く、結論から申すに、「楽にはならなかったけど、長袖のほうがイイ」

なぜなら、

メリット1, 人が来ても普通に会える。
メリット2,汗をかく量が若干、少なくなったような(気がする)
めりっと3、Tシャッツのお匂いが、若干・・少なくなった・・・ような(きがする)

決定的なものではありませんが、説明しましょう。

吹きガラス工房はとにかく汗をかく。そして、その汗が直ちに乾く。
強烈な窯の輻射熱と、あまりに暑いので、熱風を吹き出す熱風乾燥機と化した扇風機のおかげだ。
そして暑いので、また汗をかく。
そしてまた乾く。
この繰り返しで、露出している首や、腕に白い塩が析出され、なめると、塩分補給になる。

塩なら良いが、Tシャツは汗を吸い込み乾く。
汗をかき、その汗を吸い込み乾くを繰り返すうち、芳香剤のエキス(汗臭さ、ともいう)を溜め込み、そしてエキスが染み込むのである。

結果どうなるか、というと、恐ろしい事に、洗濯したくらいでは容易に取れない、「お父さんTシャッツ」の出来上がり1丁で、鼻つまみものの出来上がりなのだ。

参考までにわざわざ言っておくと、この鼻つまみ強度は、強い順から、

新素材Tシャツ>オーガニックTシャツ>安もんのTシャツ、の順だった。

つまり、乾きやすい素材のほうが、より、匂いが蓄積されやすい、と。
(ま、なんでか?はわかりますよね。)

で、これは、今迄の半袖Tシャツのパターンだったわけだが、これが長袖だと、メリット2,3にあるように、少し低減できた(のではないか?)

なぜなら、長袖とはいえ、下にTシャツを着るので、服が二枚である。
仕事を始めると、下のTシャツは、びっしょりなるが、上があるので、容易には乾かない。だから一回びっしょりなると、それ以上汗をかきにくいようなのだ。

そして、乾かないから、芳香が積層的に蓄積されない。

そして、芳香が長袖の内に格納されるので、人に会っても匂いがストレートに伝わらない、だろうという、希望。
 
以上の理由で、今年はずっと長袖で仕事した。

夜に楽かどうかは、ちょっと分からない。暑さに体力を奪われて、ご飯を食べたら直ちに眠くなってしまうからだ。

炎天下に仕事する人が長袖が多いのもこれでわかった。
道路工事の旗振りの人も、大体厚着だし、大工さんも長袖が多い。
企業戦士もスーツを着込んで暑そうだと思っていたが、以上のようなメリットから、着ていたほうがよさそうである。クーラーの寒暖差にも強そうだし。

ガラス工房は、炎天の太陽こそ照りつけないが、窯が小さな太陽のようなものだから、長袖仕様のほうが良いのだろう。

昔、東京のガラス工場を見学した時、連帯窯の前で、一日中ガラスを巻き取り、プレス型に垂らす係の人が、厚着をして、顔もタオルを頭巾のように巻いて防御していたのも、照りつける熱から、身体を守るためだったのか、とやっと納得した。

しかし、結局のところ、長袖でもやはり暑いのはこたえる。
ご飯食べて眠いが、これだけはまだ暑いうちに書かねば、と書いた。

やれやれ。

八代駅前のミックさんで展示会いたします。

2016.3.31MICK2sa

今どきとても珍しくなってしまった喫茶店らしい喫茶店の熊本県、八代市のミックさんで展示会いたします。

JR八代駅を出て、ななめ左に入る細い路地の右側にお店があります。

今回喫茶室奥の別室でも展示しておりますので、よろしくお願いいたします。

在廊日などは、私のホームサイトをご覧下さい。

「私的な詩的吹きガラスたち」

こんな暑い中ガラス小屋の中は地獄で当たり前

「くっそー!暑い、熱い!」と

汗を吹き飛ばしながらコップを作っていると、
後ろから声が、
「そんなに暑いんなら、サラリーマンとかなればよかったじゃん」

びっくりしたが、夏休み中の下の娘がいつの間にか背後にいたらしい。

「シャツ着てクーラーとかつけて」

ごもっともだが、「そんならお前がなればいいじゃん」と言ったら、

「いやだ」

「なんで?」

「なんとなく」

たしかにまあなんとなくごもっともではある。

しゃべりながらであったが、かっこ良くコップの口を仕上げに広げようとしたら、

あぶり方が足らず失敗。

「失敗だね」

と一言、

去ってゆく。

後ろからえらそうにゆうーな!

と言おうとしたが、もうそのへんにいない。

 

只今北海道釧路で展示会中です。

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鉄型シキ二題。(吹きガラスのコップのシキ)

鉄型シキ二題。

 
鉄型シキ二題。 

鉄型の底に入れるシキ、型の底の部分。

この二種類のシキを使い分ける事で、単純なテーパーの鉄型が、何種類もの製品を生み出す事が出来る。

ひょっとしたら無限かもしれない。

さらにこのシキを使う利点として、型に入れた時点で既に底が決まっている、という点。
つまり、中央が膨らんでやや高く作ってあるので、底をもう一回ならす必要がないのである。
ちなみに左側のシキは中央部が凹んで高台になるように作ってある。

型に入れてすぐにポンテに行けるので、仕事が早い。

Flower ponte フラワーポンテ 吹きガラスのポンテ跡の事で

Flower ponte

吹きガラスの底についてしまう、ポンテ跡の事で、ずいぶん悩みましたよね。

あなたはハートのようでいいと言い、僕はもっと別のにしたかった。

それが何か、ぜんぜん思いつかいないくせに、モンクを言った。

舩木先生のところで、鉄ポンテに出会ったけど、そのギザギザのあまりのかっこよさに、
僕はかえって引いてしまった。

それは全然ハートのようじゃなくてよかったのだけど、やっぱり僕向きじゃないのは明らかだった。

それで今はこんなふうです。

花のように、とあの時言えたらよかったんだ。

Flower ponte