煙の出ない燃やし方 TLUD(上部点火上昇気流ストーブ)と焚き火の違いを考える。

以前書いた私の記事、

煙の出ない燃やし方

を読み返して見ると随分、冗長で、恥ずかしくなり、追記することにした。

追記というか、以前の記事の、前のほうにもっとすぐわかるように書いたのだが。

しかし、結局長くなってしまったので、またここで言っておきます。

煙を出したくなかったら、1にも2にも乾燥です!

煙の原因はほとんど水分です

やれやれ、ほっとした。

以下、今回追記した文章です。

急いでいる方のために結論から言っておきます。

煙を出さずに燃やすにはとにかく乾燥させること。

それだけです。

野焼きなどで、もくもくと上がるあの煙の原因は、水分です。

一見乾いているように見える草刈りのあとの、数日たった枯れ草でも、まだ水分はだいぶ残っています。

ですから、野焼きすると、もうもうと煙が上がるのです。

2年ほど、軒下で十分に乾燥させた薪なら、ほとんど煙は出ません。

それでも少しは出る煙を、全くと言っていいくらい出なくするのには、以下に申し上げる方法がある。ということなのです。

つまり、ロケットストーブやTLUDストーブ(Top-Lit Up-Draft Stove)、あるいは出た煙をもう一度バーナーで燃やす方法などです。

煙を出したくなければ、燃やす前に乾燥させる時間がどうしても必要なのです。これはいかんともしがたい事実です。

しかし、今のこの初冬の時期、枯れ葉や、剪定した大量の枝葉などをじゃまくさいので、とっとと燃やしたい。

という方もいらっしゃるでしょう。

「うちら田舎じゃけん、煙なんどで文句いう人はおらせんだら!」
(えっと何弁だっけ?)

という方は、まあいいとして。

比較的、人家があるのに、

「多少の煙はやむなし!今日日曜なので、今日やりたいんじゃ!煙がなんぼのもんじゃい!文句あるんなら・・・、ヤキイモあげようか。」

と実は、ご近所に気を使う方は、

とりあえず穴を掘って燃やしましょう!

穴を掘って燃やすのは、TLUDストーブの原理に近い燃やし方で、
素焼き、
(えっとつまり、そのまま地べたで燃やす。ということですね。なんだっけ?直焼き?あるいは、ふつうの焚き火?)
に比べると、煙を少なくできます。

と、ここまで読まれて、急いでいる方は、以下長いので、読まずにすぐ穴掘りを始めてください。

TLUDストーブってなんぞや?

とか、うんちくはまあ、あとでついてきますので。

うんちくを読んでいたら、日が暮れてしまいます。

日没後、暇だったら、ひとっ風呂浴びて、心地よい疲れとともにビールでも飲みながらまた読んでいただけると、私としては望外の喜びです。

さて、ではお暇な方は以下おつきあい下さい。

TLUDストーブってなんぞや?

Top-Lit Up-Draft

つまり、

上(トップ)に(火を)灯けて、上昇気流を起こす。(空気を上に引く)燃やし方です。

ウッドガスストーブ、キャンプストーブなどの、商品タイトルで、市販されていますし、自作することもできます。

燃焼物の、上に点火し、燃やしていくことで、周囲あるいは下部から、燃焼のための空気を取り込み、強い上昇気流を起こし、それにより、火が強まれば強まるほど良く燃えるサイクルを生み出すという原理です。

火が強まり、強い上昇気流が起きると、さらに燃焼のための空気が取り込まれやすくなり、上昇した木質ガスが、周囲の空気と混合し燃焼する、いわば二次燃焼に近い現象が起き出します。

こうなるとこっちのもので、多少煙が出ても、炎のトップ部で、燃やし切ってしまいます。

すばらしい!

で、フツーの焚き火とどうちがうねん?

ごもっとも、どっちも同じ野外火で、同じように感じます。

が!

普通、焚き火をする時は、じょじょに燃やしていきます。
まず、新聞紙を丸めて、その上に細い枝葉をのせ、その上に少し太めの枝をのせ、それから下のほうに点火します。

火が大きくなってきたら、太い枝や、割った薪を入れて火を安定させていきます。

つまり、焚き火は下から点火するのです。

そうして燃えるうち、当然焚き火でも上昇気流は起きます。

ところが、上昇気流とともに燃えている炎の状態、というか内容がTLUDと焚き火では、じゃっかん、違います。

TLUDは上が燃えていて、下部は冷たいままです。

ところが、焚き火は上も熱いが、下も熱いです。

これにより、TLUDストーブは、すぐに燃えやすい、木の燃焼ガス(水素が混ざっている)から先に燃え、木の内部の炭素(つまり炭になる部分)はあとから、ゆっくり燃えてきます。

しかし、焚き火は、上も下も燃えていますので、木全体の成分が、同時に燃えている状態です。
木質ガスも、炭素も、炭になっている熾火も、そして、水分も、水蒸気も、全部同時に炎の中にあるのです。

ですから、煙が出やすい。

TLUDストーブの燃焼は、上が燃えつつ、だんだん下に移って燃えていくので、燃えているのは木質ガスが多いです。木質ガスが燃えきると、熾火、つまり、炭素、ようするに炭だけが残ります。

これに、土をかけるなり、密閉容器に入れるなり、あるいは水をかけてしまえば、簡易炭が出来上がります。

焚き火は、炭素も同時に燃えますので、水をかけても、残った木と、少しの炭しか残りません。あと灰ですね。

こう書くと、焚き火と、TLUDストーブ、だいぶ違いますね。
私も書いていて、びっくりしました。

さて、そういう事で、なるべく煙を出さずに燃やしたい方は、穴を掘って燃やして下さい。

穴の内壁が、火を断熱し、かつ、熱を反射しますので、よく燃えるはずです。

凝るのであれば、「ダコタホール」といって、空気取り入れ用の穴をもう一個、隣に掘って底のほうでつなげると、さらによく燃えるようです。

まあ、そこまでしなくても、火が強くなってきたら、「ボッ!ボッ!」と、炎の脈動が起きて、穴の周辺部から、空気を取り込み、二次燃焼現象も起きてきます。

炭を取りたい方は、こっちの「ただの穴」ほうが、無駄に空気を取り込んで、熾火を灰化させないので、いいかと思います。

商品的に、無煙炭化器なるものも、モキ製作所さんから、販売されています。

より、かっこよく燃やしたい方は、買ってみられてもいいのではないでしょうか?

穴を掘らなくてもよさそうですし。

ステンレスなので、サビて朽ちる心配もないし、熱の反射も土よりは良いのではないでしょうか?

私も欲しいところですが。どうしよう。

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煙の出ない燃やし方 その2(追記)

キャンピングスモーカー コールマン

最近、拙文 「煙の出ない燃やし方」をご覧になる方が多いようである。

近頃、世の中がせせこましくなって、煙トラブルを抱えていらっしゃる方も多いのか?

と、心配になる。

前回の記事から、いつの間にか時も過ぎ、いろいろと老婆心ながら、書き加えたい事もあるので、追記する事にした。

以下、前回「煙の出ない燃やし方」の記事末尾に、追記した文章です。

(最後に〜 2018年12月5日追記

この記事を書いてから、4年近く経つが、冒頭でも追記したように、最近この記事のアクセスが多い。
皆さん「煙のでない燃やし方。」で悩んでいらっしゃるようだ。

誤解をまねかないよう、煙と、炎について、私の考えと、立ち位置を言っておこうと思う。

荒野の中で、煙を出すのなら、問題はないだろうが、結局、まわりに人がいるから、その密度によって、問題が起きるのである。

ところが逆に、人の密度が多くても、どんど焼き、や、鬼火焚き。農業や、林業仕事での野焼きなどであれば、堂々と、煙を出せる訳で、こちらは周りに人がいても問題ない。

しかし、そのような行事や、共同作業は、今の時代だんだん少なくなって来ている。
地方の高齢化、人口減(過疎とも言う、変な言葉だが。疎が過ぎるとは、どういう意味だ?)
のせいである。

そして逆に、都市部の人の密度は高くなって来ており、そういう所での煙のトラブルは多い。薪ストーブの煙苦情などである。
もちろん鬼火焚きなど出来るはずもない。

人の密度が高くても、煙に文句言われる場合と、文句言われない場合があるというのが面白い。

また、少子高齢化と、地方の人口減が進むほど、煙と、炎が人間の生活の周りから、減っていくというのも、何かの符号のようで面白い。

炎と、煙を駆逐していくようでは、生活はますます、息苦しくなっていくだろう。
そして、炎と、煙のありがたみを知らない人間が増え、ますます炎と煙は遠ざけられていく。

(炎は、ともかく、煙にありがたみがあるのか?と思うが、煙をくゆらせてくつろいだり、煙を肉に当てて、燻製に出来るありがたみがあるのだった。)

少子高齢化というが、20年前に、ちょっとした何らかの手を打っておけば、今頃は、その子らが税金を収め始めているのだ。

いや、16になれば、バイクに乗ったり、タバコを吸ってくれるので、ガソリン税や、たばこ税を収めてくれる。

いやいや、自分で、お買い物に行ける歳になれば、小遣いから、消費税を払ってくれるではないか。

そんな簡単なフックも起こさずに、自分の知り合いと、アメリカにお金をばらまくしか能のない、無為無策のマスターはほっといて、私は少々、迂遠ではあるが、炎と、煙のありがたみをボディに伝えていく事で、地方の人口減と、少子高齢化の流れに逆らっていけるのではないかとバカバカしくも考えているのである。
「風が吹けば桶屋が儲かる」の伝ではあるが、無為無策よりはましだろうと思う。

 

鬼火焚き 吉川

アンカ(豆炭)と、炭火と、練炭火鉢と、薪燃焼時の一酸化炭素について考えてみる。

前回のアンカの記事で、キャンプなどにも持って行ったらいいかもしれないと書いたが、
よく考えたら、一酸化炭素中毒の心配がある事に気づいた。

そこで、今回は一酸化炭素について考えてみる。

 

とにかくまず、豆炭アンカを使用するときにも、一酸化炭素に対する用心は必要であると、言っておきたい。
豆炭が、小さくて、発熱量も少なく、また、グラスウールがある程度、触媒の役目をするにせよ、一酸化炭素は発生するであろう。

なので、締め切った車の中や、狭いテントの中で使用するのは控えて、やむを得ず使用するときは、換気に十分に留意すべきであろう。
また、布団で使用するときも、布団にもぐりこむのは止めておいたほうがいいと思う。

おそらく豆炭アンカに付いてくる注意書きだと思うが、良いPDFファイルがアップロードされていたので、心配性の方は、これを印刷して、よく見えるところに貼っておくといいだろう。

マメタン 警告

リンクに飛ぶのがめんどくさい人のため、以下に引用しておく。(引用 ミツウロコ マメタンpdf)

  • マメタンが燃焼する際には、一酸化炭素が発生しますので室内で使用される場合は一時間に1〜2回は部屋の窓を全開して必ず換気をして下さい。

  • コタツで使用される場合は、コタツの中には絶対にもぐり込まないで下さい。

  • 火鉢やコンロなどで使用する場合、就寝時には、室外の安全な場所に出して下さい。

  • 締め切った車内やテント等、換気の悪い場所では絶対に使用しないで下さい。

  • コンクリートの凍結防止などにご使用される場合は工事現場に立ち入る前に必ず換気をして下さい。

メーカの警告だから、大げさなのさ、と無視したくなるかもしれないが、一酸化炭素は無臭だから、気をつけるに越したことはない。

しかも、気づいた時には、体が動かないので、やっかいだ。

やはり、換気には気を付けるべきである。

また、ミツウロコヴェッセル社の「マメタンアンカのご使用方法と注意」にも、点火方法など、詳しい説明があったので、一読をおすすめする。

ついでに同社の、「レンタン・マメタンについてよくある質問」も参考にしてほしい。
ミツウロコの、「よくある質問」

さて、では、車内で練炭自殺はなぜ起こるのだろう。

アンカと、練炭火鉢と、炭と、薪の燃焼のとき、それぞれの一酸化炭素の発生はどうなっているのか?

そして、なぜ一酸化炭素中毒は恐ろしいのか?そのメカニズムは?

詳しく書こうと思ったが、ちょっと風邪をひいて、きついので要点をまとめて書くことにする。

結論から言うと、一酸化炭素中毒が発生しにくいのは、薪の燃焼である。と言っておく。

そして、それぞれのケースを考えてみる。

まず、車内にアンカと、練炭火鉢を持ち込んだ場合、どっちが危険か?

もちろん練炭火鉢である。

アンカの豆炭の大きさと、煉炭の大きさは、全然違う。
当然大きな煉炭のほうが、より、大きく燃え、たくさんの一酸化炭素を発生する。
よって、アンカより、練炭火鉢のほうが密閉空間では、はるかに危険である。

では、煉炭の代わりに、練炭火鉢に炭を入れたらどうだろう?

炭の場合、個々の炭の隙間ができるので、空気が入りやすく、不完全燃焼しにくい。
対して、煉炭は、一つの稠密な炭素の塊である。(少しのバインダー、つまり凝固剤、のり、は入っているだろうけど。)

よって、煉炭のほうが、一酸化炭素の発生は多いだろう。

だから、練炭火鉢は車内自殺の最強兵器なのだ。

最後に、薪はなぜ、自殺の材料に使われないのか?

仮に、練炭火鉢に薪を割り入れて燃やすと、煙が発生するので、あまりの煙さに、窓を開けざるを得ない。
そして、火が燃え上がるので、あまりに危険なので、火鉢を車外に放り出すだろう。

よって、薪は自殺の材料としては最も不適切なのだ。

ばかばかしい事を言ってるようだが、日本家屋で、炭が好んで使われてきたのは、この煙を発生しない、という点につきる。
広いお寺のようなところなら、囲炉裏に薪をガンガンくべても、煙くないが、狭い長屋では、煙の出ない炭が好んで使われたのではないだろうか。

そして、薪は炎を立てて燃える。なぜなら、薪は炭と違い、炭素(C)だけでなく、水素(H)や、酸素(O)を成分中に含んでいるからだ。
だから、薪が燃える時は、炭(C)だけの燃焼と違い、水素や、酸素と化合して燃えるのでより暖かく、よく燃える。

よく燃えるので、よく空気を吸い込み、新鮮な空気が循環する。
新鮮な空気が入るので、血液中のヘモグロビンと結合して、体に入る酸素を奪う一酸化炭素も吹き飛ぶ。

よって、薪の燃焼は一酸化炭素中毒が発生しにくい。

大まかであるが、炭と薪の燃焼の違いというのは、そういうものだろうと、私は理解している。
もっと化学的に勉強しなければ、とは思っているが、基本はこういう事ではないだろうか?

豆炭アンカも、ミツウロコと、十全アンカ、などがあるようだが、使い勝手は、どれも一緒だ。
豆炭を、十分に熱して、立ち消えしないよう、二分の一程度が赤くなるくらいに点火してから、アンカに入れる。

火起こしも、ホーロとか、鋳物とか高いものもあるようだが、なに、安物で十分。
しょっちゅう使うものでもないので、けっこう長持ちする。

要は、確実に火を付けること。(二分の一程度)真っ赤にしすぎるのも、酸素不足で、立ち消えになるオソレがあるらしいので、ほどほどに。
あせってはいけない。立ち消えしたら最初からやり直しになってしまう。
そして、点火した豆炭を、アンカに入れる。
火箸や火バサミ、トングなどがあったらはさみやすい。

私はこの火のついた豆炭を、アンカに移すとき、ハウルの動く城で、ハウルがカルシファーを、火床に移すシーンを思い出す。
なんかそんなハラハラする感じ。



そして、布団に入れてぬくもる。
翌朝も、まだまだあったかいので、コタツや、足元の毛布などに入れて暖をとり、とうとう冷めたら(私は昼すぎまでもつ。)灰を出して、また夜に火をつけて入れる。の繰り返し。
薪ストーブに入れると、簡単に火が付く。

ちなみにアンカに使う豆炭は、安いものも、ホームセンターで売っているが、やはり、ミツウロコの純正品が、灰になった時、パカリと外れるので、少し高くても、純正品をおすすめする。

私は安いものを、一俵買ってしまって、灰が落としにくいので、後悔している。

そして、豆炭を買うなら思い切って、ミツウロコの純正豆炭を一俵買ったほうがいい。
使いだすと、あまりの心地よさに毎晩布団に入れて、ぬくぬくせずにはいられないから。

こんな豆炭コタツもある。
さぞかしぬくかろう。
昔の掘りごたつの温もりを知っている私としては、ぜひ欲しいのだが。


豆炭アンカのウールが破れたら、詰め替え用のロックウールも売っている。
しかし、ちょっと高い・・・
ロックウールは高いものでもないので、もう少し安くてもいいのではないか?
これなら新品のアンカを買ったほうがいい。となるのではなかろうか?

焚き火釜を自作する。

秋らしくなってきて、火が恋しい肌寒さになってきました。
葉っぱが落ち、枯れ枝をポキリと踏むと、焚き火のはぜる音が聞こえて来るようで、
火が恋しくなります。

しかし、

落ち葉を集めて焼き芋、なんて昭和な風景は全く見る事もなくなり、
夕暮れ時に、どこからか落ち葉の煙の匂いと、お芋が焼ける香ばしい匂いが漂ってくる。
などと言う事も無くなりました。

寂しい事です。

昨今では焚き火をして煙を出すと通報される事もあるようで、
警察官の同級生が、「んな事で、いちいち電話して来るな!」と飲み会で怒っていましたが、
彼が何で怒るのかわからない人も多くなって来たのではないでしょうか。

そこで、焚き火好きの私は、「焚き火窯」を作りました。

いや、ま、焚き火をそこらへんにあったコンクリートブロックで囲っただけなんですが。

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焚き火の時、どうして煙が出るのか、というと、極端に言えば、不完全燃焼だからです。

では、どうして不完全燃焼になるのか?

それは、燃やす木や、葉っぱが完全に乾いていなかったり、燃える時の燃焼温度が低いからです。

では、どうすれば、なるべく煙の出ない焚き火ができるのか?

一番完璧なのは、バーナーを使って、煙を燃やし切ってしまうのです。

プロパンのトーチバーナーや、風呂釜用の灯油バーナーなどを使って煙を燃やしてしまうのです。

これは、ペットの葬儀屋さんなどが無臭火葬を請け負って、ペットの火葬をしてくださる火葬炉のしくみと同じです。

しかし、いちいち焚き火に、煙を燃やすバーナーを持ち込むのも相当手間です。

そこで、煙を少なくする次の案として、「なるべく燃焼温度を上げる。」手があります。

今回の「焚き火釜」はその為に作りました。

火を囲うと、コンクリートブロックからの輻射熱を得る事ができるので、燃焼温度を上げる事ができます。

よって焚けば焚くほど釜内の温度が上がり、煙の少ない燃焼になるはずです。

寒くなって来たので、焚き火くらいゆっくり楽しみたいですね。

以下は、私の記事中で、煙問題についての記事です。

燃焼と、煙について興味のある方は御覧ください。

1,薪風呂のレンガを積んでいると、警官が現れ、煙で一悶着。

「薪風呂のレンガ積み」

2,煙をなるべく出さないで燃やすにはどうしたらいいのか?

「煙の出ない燃やし方」

お金に糸目をつけなければ、いろいろ売っていますね。

あ、ピザ窯は、ドラム缶で自作したんだった。

またそれも書いとかないと、と思いつつ。

薪ストーブのガラス窓にススがつかないように改造してみました。Simple Air Curtain&Soot Hood

そろそろ薪ストーブのシーズンも終わりかと思えば、急に冷え込んでみぞれが降ったり、なかなか今年は油断ならないですね。

残り少なくなった薪を気にしつつ、ラストスパートです。うれしいような、さみしいような。

さて、薪ストーブのガラス窓がススでくもりやすかったので、ちょっとした改造を施し、なんちゃってエアカーテンを楽しんでます。

ただし、私のストーブは新保製作所さんの、ヒートチョッパー君ですので、窓は小さいです。窓ガラスの大きなものにはこの改造は苦しいかも。念の為。

それから私の場合、煙道を横に取り付けて、ロケットストーブでのフィードチューブ(薪供給部)の役割を薪ストーブが担当してますので、通常とは薪ストーブ内の煙の流れが違うかも知れません。これも念の為。

オーブン&スス取りフィルター付き薪ストーブ


さて、念の為が多すぎました。結論から言いますと、「ガラス窓の上にヒサシを付けたらいいんじゃないかな」と、それだけです。

こんなふうに。

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扉のガラス窓が付いている上側に、7〜8ミリ程の隙間がありましたので、そこに押しこむように、ツメを付けた鉄板を付けてみました。

ストーブ内部を回った煙は、このヒサシにさえぎられて、ガラス窓には当たらないしくみです。

巾は6,7センチぐらい。巾が広い方が効果的でしょうが、広すぎるとじゃまくさいです。

そして入り口下部に、小さいレンガを使って、ガラス窓の下から空気が入るように流れを作ってやります。

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以上で、完成。

たいした工作ではありませんが、かなり効果的で、ススの多い木や、薪を詰め込みすぎなければ、窓ガラスはクリーンなままです。

なんちゃってエアカーテンの作り方でした。

オーブン&スス取りフィルター付きロケットストーブ。RocketStove with Oven&Sootfilter.

今年2回めの雪が降った。
鹿児島は南のほうだから年中、裸のような格好で生きているように思われる事もしばしだが、

そんなことはない。

雪も降ればアラレも降る。
特に今年は強烈な寒波が南下してきたので、大雪(レベル鹿児島の)が降り、カマクラを作った。

それにこれは本当の話だが、よその人が冬に鹿児島に来ると「鹿児島は寒い!」と言うのだ。

なんでかと言うと、暖房設備がプアな上に、家の造りが冬を旨としていない、からなのだ。
だいたいコタツだけ、とか、ファンヒーターだけ、とかである。
まあ中にはファンヒータープラスエアコンという宅もあるが、それは最近の東京かぶれの暖房意識レベルの高いご家庭の話であって、昔気質の鹿児島人はだいたい冬は着ぶくれてやり過ごす。
だいたい冬に半袖で、ビールだの、アイスだのぜいたくの極みである。昔の鹿児島の店は冬はアイスの冷凍庫に蓋だか、ビニールなどして、冬はアイスなし。が当然だったのだ。実際うちの近所のお店は今アイスはお休み中だ。
それが北海道かぶれして、中暖房外断熱だかしらないが部屋をぬくぬくにして雪の日に半袖でビールなど実にけしからん。

(実は私も大雪の日にビール飲んで、子供はカマクラ作って暑くなったといってアイス食ってました。すいません)

ま、とにかく、昔の鹿児島はそんな感じで、ウチも以前は、冬は厚めに着てやり過ごす。という日々だったが、以前からの記事でおわかりのように、ロケットストーブなるものを知ってから、いろいろと火をいじくり回すうち、お、これなら家に薪ストーブつけられるじゃん。と思うようになった次第である。

ま、それで、薪ストーブの改造の話に入る訳で、ちょと前置き長すぎた。

あ、言っときますが、今回長文注意です。

とりあえず休憩しとこう。

うちの作品ネットショップでも売ってますので、ついでにこのへんで宣伝。

さて、前回煙突掃除の話で、結局ストーブを全バラシしたのはお話した。

Dismantling my rocketstove.
Dismantling my rocketstove.

それで、薪ストーブというのは面白いが煙突掃除もけっこう大変だなーとつくづく思った。

シーズン外の暖かい時なら、まだ良いが、寒い中、煙突が詰まり、やむなく掃除するのは辛かろうと。

私は、手間がかかればかかる程かわいいものよ、などと目を細める気はない。

そこで!

画期的なアイディアを今回導入する事にした。

ま、世界は広いから誰かがやってるかもしれんが、一応自分で思いついた。

それは!

「煙突の途中に、スス取りフィルターを付ければいいじゃん。」

ま、こんな感じで、

mo_20162184

ころがっていたステンレスメッシュの小ざるをかぶせてみた。

この部分は一斗缶で、放熱缶、兼、スス取りフィルター部になる。

全体の構造がわからないと、わかりにくいと思うので、完成形の画像がこれ。

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下の右側から、薪ストーブ本体、左が煙道(断熱してロケットストーブ仕様)、その上に、鉄板製のオーブン、その右側が、放熱缶兼、スス取りフィルター部、そして、上部煙突へ抜ける。という構造。

薪ストーブ本体は新保製作所さんのキャンプ用薪ストーブ「ヒートチョッパー」君だが、本来は後ろに付いている煙突口を塞いで、新たに左横に煙突口を開けてある。

サンダーとドリルで四角に穴を開け、耐火断熱レンガの煙道につなげてある。隙間は自作モルタルで固定した。

横に煙道を付けた事で、着火の時、すぐに煙の流れが煙道部に行き、ロケットストーブ特有のゴウゴウという燃焼音が聞こえる。

これはつまり、バーントンネル直下で点火する事により、煙がヒートラーザに引き込まれ、ロケットストーブ燃焼が容易に起こるのだと思われる。

これにより、着火が楽になり、朝、寝ぼけていても簡単に火が起きるので早起きが楽しくなった。

それから今回、ちょっと欲張ってオーブンも付けた。

ロケットストーブ仕様の煙道から上昇してきた排熱が、オーブンの箱の、上と下を通って、一斗缶の放熱部に入り、煙突に抜けるという煙の流れ。一斗缶の中の煙突に、スス取りフィルター(ま、ただの小ざるですが)を付けてある。
一斗缶は横だおしに設置し、右側に蓋が来てそれを外して掃除できるようにした。

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あ、これを作ったのはもう去年の話。だからこのスス取りフィルターの効果がどうだったか?も、あとで書いときます。

さて、オーブンからスス取りフィルター部のレンガの取り回しをイメージする為、まずは仮組みしてみる。

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細かい加工が必要な部分は、耐火断熱レンガを使う。こいつはノコギリで切れるので、細かい作業がし易い。
おおむねこんな感じでよかろう。
問題はオーブンの下火と上火の調節だ。煙道からの排熱が、オーブンの鉄箱の左下にまず当たり、そこから、上と下に煙道が分かれるのだが、おそらく下火が強くなると思う。なのでオーブンの上側の煙道に排熱が流れやすく作るべきであろう。
ダンパーを付けて調節する方法もあるが、上火と下火のバランスが決まれば、そうそう調節するものでもないだろうから、オーブンで焼く時に下火が強ければ下に薄いレンガを敷いて調節すればいいと思う。

オーブンを載せてみる。

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まこれでよかろう。

さて、では仮組みをバラして、モルタルをつけて積んで行こう。
ちなみにモルタルは、石灰と、粘土と、土と灰を混ぜて作る。セメントは混ぜない。セメントを混ぜると硬くなるので、作業が次の日に持ち越し出来ないのだ。
混合比は、石灰4,灰3,粘土2,土1、覚えやすいからこの比率にしたというのは嘘でなく本当だ。だから真似するといけない。
このモルタルは後で火入れした時にも、収縮してヒビ割れてくる箇所に刷毛や、コテで塗りつけたりするので、硬くならないのは重要なところ。
薪風呂を積む左官さんは、石灰と砂に1,2割ほどセメントを入れると聞いたが、それは仕事の早いプロの話。

煙道の立ち上がり、完了。
オーブンを置く所を作る。

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オーブンを載せて、上下に排熱の流れる煙道を作る。オーブンは鉄板を溶接して作成。厳密な密封性は問われないので、素人の私でもできた。
オーブン皿が一枚入るくらいでいいので、小さめにかわいく作る。

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天板は面積がいるので、何かないかとホームセンターに行ったらガーデニング用の平たくて薄いレンガ板があったので、こりゃーいいや!とゲット。わずか5〜600円だった。耐火レンガで、巾の広いレンガを買ったら数千円はする。今度ガラス窯もこれで作ってみよう。

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天板を載せてオーブン部完成。

そして次は、一斗缶を加工して、・・
あ、まずは一斗缶入りのせんべい大入りセットを楽天などで注文して、食べるとこからだった。

 

 

で、カラにした一斗缶で焚き火して、表面の塗装を焼いてと。これをやらないと、ストーブに火入れした時、部屋が臭くなるので必ずやる事。なんか銀色で、塗装してないっぽいじゃん。OKOKと、そのまま施工するとひどい目に会う。
で、加工。底と横に丸く穴を開けて、煙突を突っ込む。
それにしても最近の一斗缶は薄くなって加工しやすいですなー。
でも何年もつだろか。

そして、掃除でフタを外す時、一斗缶がぐらつかないよう、しっかり固定するためのバンドを作る。
これまたホームセンターで、適当なL字の金物を買ってきて、切って溶接して、タッピングビスで固定。

隙間をモルタルで埋めて完了。

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あとは煙突につなげて完成。

バンザーイ!

今回煙突と、防熱壁は前からあったから割と早く済んだ。
せんべい缶の注文にやや時間がかかったが。(選ぶの遅い)

さて、オーブン作ったら、まずはピザ焼こう!

できました!

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ほんでパンだ!

できました!

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ほんでついでに塩パンだ!

できた!

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うまい!

まちょっと落ち着こう。

で、しばらくはしゃいだ後、スス取りフィルターを見てみる。

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おお!こんなにいっぱい採れた!

というか、ふさがってる。

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意外とすぐにススがたまる。
寒い日など、朝と夕方にフィルター掃除しないといけなかった程。

掃除する時は、一斗缶のフタを外してフィルターを取るので、薪が入っていると、室内に煙が出てしまう。
ならば薪が熾き火になった時を見計らって、掃除すれば煙は出ないのであった。

そして掃除するタイミングは、ロケットストーブ特有のゴウゴウという燃焼音が弱くなり、空気の引きが悪くなって、煙が室内に出てきたら、フィルターのお掃除サインなので、わかりやすい。(何の宣伝だ。)

あとは、シーズン終わって煙突掃除する時にどんくらい煙突内にススがあるかが見もの。
フッフッフ楽しみだぜ。

と言いつつ、多分秋ごろになって、寒くなったなーえーいしょうがないなーよっこらしょー一と煙突掃除し始めるんだろうな。

ま、そうゆう訳で、秋ごろになったら、煙突の状態をレポート出来ると思います。

多分。

煙突掃除、煙道火災、ロケットストーブ、タール付着など気になる事まとめ。Rocketstove Chimny sweep.flue fire.Removing a tar.

もう12月なのでちょっとシーズン遅れだが、自宅ロケットストーブの煙突掃除をした時に、ロケットストーブの煙突や、煙道火災について今まで気になっていた疑問が自分なりにわかってきたのでまとめておきたい。

自宅の薪ストーブは、新保製作所さんの、キャンプ用薪ストーブ「ヒートチョッパー」を改造し、廃ルツボを切って煙道にしたものをつなげてある。

 

Rocket stove
Rocket stove with used melting pot

 

そして更に排熱で部屋を暖めるため、上部と横に排熱缶を増設してある。

Heat radiator using rice cracker can.
Heat radiator using rice cracker can.

この状態で昨シーズン3月か4月頃まで焚いたのだが、最後の頃は、だいぶ煙が漏れてきて、こりゃ煙突掃除せんといかんな。と思いつつ、そのうち暖かくなったので、そのまま放置。

なので、今シーズンを迎えるにあたり、どうしても煙突掃除をせねばならぬ。

さあて、腰を入れて煙突掃除しようか、と思ったが、どうせメンドクサイ仕事だから、いっそばらしてオーブン付きロケットストーブに改造してしまう事にした。

Dismantling my rocketstove.
Dismantling my rocketstove.

どんどんバラして薪ストーブ本体と外部に行く煙突だけにする。

周りの断熱壁と、フレームなどはそのまま残す。

バラして見ると思ったよりけっこうススやタールが付いている。一応ロケットストーブ方式だから、少ないと思っていたが甘かった。

特に煙突(ステンレスの一重煙突)内のタールがけっこうすごい。

The tar which attached to the chimney inside
The tar which attached to the rocketstove chimney inside

放熱缶から金属の煙突にかけて内壁にびっしりとタールが付着している。

しかもまるで黒曜石のように硬く、ブラシなどではとても落とせない。

とりあえず届く範囲を無理やり、スクレーパーで掻き落とす。

手が届かない所はいかんともしがたいが、それでもごっそり採れた。

I get tar of a lot of frying pans.
I get tar of a lot of frying pans.

しかしこんなに硬いタールが付着しては煙突掃除も容易ではない。下手すると毎シーズンごとに煙突を交換せねばならんか。と、絶望感におそわれる。

「やはりロケットストーブ方式の薪ストーブというのはけっこう掃除がやっかいなのか・・・」

しばらくボーゼンと座り込んでしまったが、気を取り直し、煙道内のタールを焼き切ってしまう作戦で行こう!と決める。

これは北海道のガラス工房の人が、煙突が詰まって燃えが悪くなった時、窯の温度をムリヤリ上げてススを焼き切ってやったぜ。

怖かったけどな。

と言っていたのを思い出したからだ。

いわば強制的に煙道火災を起こしてしまおう、という危険な作戦だが、煙突を外して外でやればよかろう。

で、タールがこびりついて固着した煙突をなんとか外し、ステン缶で焚き火を熾した中に煙突を突っ込む。

I 'm tring to burn off tar inside rocketstove chimney.
I 'm tring to burn off tar inside rocketstove chimney.

すぐに煙突内のタールに引火し、煙突から激しく火が吹き出す、かと思いきや、くすぶって臭い煙が出るばかりで引火しないではないか。

えっ、タールってすぐ燃えるんじゃないの?と先ほどフライパンに集めたタールを、トーチバーナーであぶってみたが、ブスブスと溶けてジュルジュルと煙は出すもののいっこうに引火はしないではないか。

I roast tar in a gastorch burner, but fire does not arrive.
I roast tar in a gastorch burner, but fire does not arrive.

なんだ、タールって簡単に燃えるもんじゃなかったのだ、じゃあ煙道火災ってよほど掃除してないか、悪条件が重ならないと、起きるものではないんだな、と、変な所で安心する。

しかも、このタールがくすぶる時の煙の匂いがひどく臭い。

どっかの古い駅の灰皿に山盛りたまった吸い殻が、くすぶっているような悪臭である。

成る程、このタールをそのまま排気する作りの薪ストーブだと、近所から苦情が来てしまったりする訳か、と、また、変な所で納得する。

ま、納得したのはいいのだが、タールを焼き尽くさない事には肝心の煙突掃除が終わらない。

この時納得し、安心した煙道火災や、ロケットストーブの排気についての感触は最後にまとめて書くことにして、とりあえず今は煙突掃除。

結局煙突の中に、割った竹やら、細枝を入れて煙突内で強制的に焚火し、タールを焼き尽くす事ができた。

I burn off tar.
I burn off tar.

キレイに焼き色がついた。

さてさて、次はエルボ部分の掃除。

これまたこびりついてスクレーパーでガリガリやっても落ちるものではない、しかもジャバラ状になってるし。

どうしようか。

あ、そうだ。さっきバーナーであぶったら融けだしたな、と言う事は意外と熱に弱いんじゃ?

と、お湯をかけてみると!

Tar  peeled off neatly when I took hot water! 
Tar peeled off neatly when I took hot water!

見事にぺろりとむけた。

なんと!いままでの苦労は何だったのだ。

「タールはお湯をかけるとはがれる」

のです。

ふう、やれやれだ。

ここで5分間休憩。お茶にしましょう。

(2018年10月23日 追記。 この時はお湯をかけたらきれいに取れたが、今シーズンやはり、タールがついた煙突にお湯をかけたが、なかなか取れなかった。
この記事を書いた(2015年)時は、ストーブに近い部分にタールが付着し、今期(2018年)は、外の煙突出口に付着した。
オーブンや、スス取りフィルターをこの時取り付けた事で、その後タールの付着する場所が変わってしまい、しかもタールの性質まで変わってしまったようだ。
タール掃除にこの記事を参考にされた方、ご注意ください。)

さて、どうしてこんなに煙突内にタールが付いたのか?

その原因を考えつつ、煙道火災や、ロケットストーブの煙突掃除についてもここでまとめておこう。

実は、こんなに溜まるとは予想してなかった。

ほら、こんなに。

Lump of tar.
Lump of tar.

ここは耐火レンガで作った横煙道から、天井へのステン煙突へのつなぎの部分である。

で、ここをよく観察してみると、耐火レンガ部分にはあまりタールは付いておらず、ステン煙突になった境目のあたりから、タールが付着しだしているのだ。

そして、そこから2メートルほどの所が一番タールが付着している。

そこから外の出口部分にかけては、ほとんど付着していない。タールの付着も途中で力尽きた、という形だ。

では、どうしてステンの金属部分になった所から急にタールが付着しだしたのか?

それを考えると、原因が推測出来てきた。

タールの元は煙である。煙が煙道内を通過していく時にススやタールの形で、煙道内部に付着していく。

しかしこの時、煙の温度が十分高ければ煙はスピードをもって外まで排気されていく。

しかし、今回の私のような放熱部を室内に設けて、排熱を放出させてから排気が煙突を通る構造だと、排気はかなり温度が下がった状態で煙突に行く。

煙突に1,2秒は手を当てていられたから、おそらく温度は7〜80度ぐらいだった筈だ。

そして、その排気煙には、まだ乾燥しきれていなかった薪の水分や、室内から空気とともに取り込んだ水蒸気が含まれており、燃焼を終え、断熱、保温の効いた耐火レンガ部を通過し、一重のステン煙突部に行った時、急に冷まされ、いわば結露のような具合で、煙道内部にタールとなって付着したのであろう。

そして、その後、水分は熱で蒸発して、水蒸気となり煙突トップから排出され、付着したタールは乾燥してとどまり、その後次々と新しい層を形成していったのだろう。

それにしてもシーズン終わりに、よく乾いていない薪を焚いたのはいけなかった。

そういえば、その頃は、かなり引きが悪くなって、煙が室内に返って来てたな。もう少しで暖かくなるから、と結局煙突掃除もしなかったし。

ロケットマスヒーター型のロケットストーブの排気煙は、室内に排熱を放出するため温度が低い。

外の煙突は手をずっと当てていられる程なので、3〜40度くらいだろう。

そして、煙突先端からは煙というより、ほぼ湯気が出て、木酢液が滴っている。

従ってロケットマスヒーター型のロケットストーブを設置する時は、木酢液が垂れる所は下がり勾配に煙突をつけ、木酢液が外に流れ出るようにし、煙突の金属部分で温度が下がり内部に結露して、タールが付着しそうな所は掃除しやすく、もしくは取り外ししやすくしておくべきだろう。

また、ベンチ内を煙道にする場合は、まだ排煙の温度がそう低くなく、また土などの断熱体を使うだろうから、結露の心配はないだろうが、ススはつくだろうから、やはりここも掃除口を設けるなり、あまり狭くならないように施工すべきだと思う。

最後に、煙道火災について感じた事を書いておきたい。

私の近所のお宅にやはり薪ストーブを設置されている方がおられて、その人が薪ストーブについて語る時、必ずどこかのお寺さんで煙道火災が起きて、お寺が丸焼けになったお話をされるので、煙道火災という言葉には少なからず恐怖心を感じていた。

だが、今回採取したタールを焚いてみて、すごく臭い煙が出るばかりで簡単に着火するものではない、という事が分かったので、安心した。

今は、煙道火災は、かなりの悪条件が重ならないと起きないのではないか?と感じている。

その悪条件とは。

  1. かなりの量のタールがたまる事。
  2. そのタールが垂れてきて液状になり、発火点に近い温度付近の場所に溜まってしまう煙突の作りになっている事。
  3. そしてそのタールが高温で気化し始め、悪臭を放つ煙が出だしても、気付く人が近くにいない事。もしくは気付かない所に煙突の出口がある事

逆に言えばこの条件が重なれば煙道火災を起こせる訳で、それもけっこう大変なのではないか?

第一、これほど煙突が詰まってきたら、かなり引きが悪く、煙も逆流してくる筈で、ちょっとおかしいな、と感じる筈である。

そしてロケットストーブで煙道火災が発生しやしないか?と恐れていたが、それも杞憂であろう。

なぜならロケットマスヒーター型の煙道は、とてもタールが燃える程の高温にはならないだろうし、その前におそらく、詰まったススやタールのせいで、引きが悪くなり、全然燃えなくなってしまって、煙突掃除をやむなくし始めるだろうから。

煙の出ない燃やし方。(良い焚き火をしたかったら、とにかく乾燥が一番です。)

ひのきのかおり

急いでいる方のために結論から言っておきます。

煙を出さずに燃やすにはとにかく乾燥させること。

それだけです。

野焼きなどで、もくもくと上がるあの煙の原因は、水分です。

一見乾いているように見える草刈りのあとの、数日たった枯れ草でも、まだ水分はだいぶ残っています。

ですから、野焼きすると、もうもうと煙が上がるのです。

2年ほど、軒下で十分に乾燥させた薪なら、ほとんど煙は出ません。

それでも少しは出る煙を、全くと言っていいくらい出なくするのには、以下に申し上げる方法がある。ということなのです。

つまり、ロケットストーブやTLUDストーブ(Top-Lit Up-Draft Stove)、あるいは出た煙をもう一度バーナーで燃やす方法などです。

煙を出したくなければ、燃やす前に乾燥させる時間がどうしても必要なのです。これはいかんともしがたい事実です。

しかし、今のこの初冬の時期、枯れ葉や、剪定した大量の枝葉などをじゃまくさいので、とっとと燃やしたい。

という方もいらっしゃるでしょう。

「うちら田舎じゃけん、煙なんどで文句いう人はおらせんだら!」
(えっと何弁だっけ?)

という方は、まあいいとして。

比較的、人家があるのに、

「多少の煙はやむなし!今日日曜なので、今日やりたいんじゃ!煙がなんぼのもんじゃい!文句あるんなら・・・、ヤキイモあげようか。」

と実は、ご近所に気を使う方は、

とりあえず穴を掘って燃やしましょう!

穴を掘って燃やすのは、TLUDストーブの原理に近い燃やし方で、
素焼き、
(えっとつまり、そのまま地べたで燃やす。ということですね。なんだっけ?直焼き?あるいは、ふつうの焚き火?)
に比べると、煙を少なくできます。

と、ここまで読まれて、急いでいる方は、以下長いので、読まずにすぐ穴掘りを始めてください。

TLUDストーブってなんぞや?

とか、うんちくはまあ、あとでついてきますので。

うんちくを読んでいたら、日が暮れてしまいます。

日没後、暇だったら、ひとっ風呂浴びて、心地よい疲れとともにビールでも飲みながらまた読んでいただけると、私としては望外の喜びです。

さて、ではお暇な方は以下おつきあい下さい。

TLUDストーブってなんぞや?

Top-Lit Up-Draft

つまり、

上(トップ)に(火を)灯けて、上昇気流を起こす。(空気を上に引く)燃やし方です。

ウッドガスストーブ、キャンプストーブなどの、商品タイトルで、市販されていますし、自作することもできます。

 

燃焼物の、上に点火し、燃やしていくことで、周囲あるいは下部から、燃焼のための空気を取り込み、強い上昇気流を起こし、それにより、火が強まれば強まるほど良く燃えるサイクルを生み出すという原理です。

火が強まり、強い上昇気流が起きると、さらに燃焼のための空気が取り込まれやすくなり、上昇した木質ガスが、周囲の空気と混合し燃焼する、いわば二次燃焼に近い現象が起き出します。

こうなるとこっちのもので、多少煙が出ても、炎のトップ部で、燃やし切ってしまいます。

すばらしい!

で、フツーの焚き火とどうちがうねん?

ごもっとも、どっちも同じ野外火で、同じように感じます。

が!

普通、焚き火をする時は、じょじょに燃やしていきます。
まず、新聞紙を丸めて、その上に細い枝葉をのせ、その上に少し太めの枝をのせ、それから下のほうに点火します。

火が大きくなってきたら、太い枝や、割った薪を入れて火を安定させていきます。

つまり、焚き火は下から点火するのです。

そうして燃えるうち、当然焚き火でも上昇気流は起きます。

ところが、上昇気流とともに燃えている炎の状態、というか内容がTLUDと焚き火では、じゃっかん、違います。

TLUDは上が燃えていて、下部は冷たいままです。

ところが、焚き火は上も熱いが、下も熱いです。

これにより、TLUDストーブは、すぐに燃えやすい、木の燃焼ガス(水素が混ざっている)から先に燃え、木の内部の炭素(つまり炭になる部分)はあとから、ゆっくり燃えてきます。

しかし、焚き火は、上も下も燃えていますので、木全体の成分が、同時に燃えている状態です。
木質ガスも、炭素も、炭になっている熾火も、そして、水分も、水蒸気も、全部同時に炎の中にあるのです。

ですから、煙が出やすい。

TLUDストーブの燃焼は、上が燃えつつ、だんだん下に移って燃えていくので、燃えているのは木質ガスが多いです。木質ガスが燃えきると、熾火、つまり、炭素、ようするに炭だけが残ります。

これに、土をかけるなり、密閉容器に入れるなり、あるいは水をかけてしまえば、簡易炭が出来上がります。

焚き火は、炭素も同時に燃えますので、水をかけても、残った木と、少しの炭しか残りません。あと灰ですね。

こう書くと、焚き火と、TLUDストーブ、だいぶ違いますね。
私も書いていて、びっくりしました。

さて、そういう事で、なるべく煙を出さずに燃やしたい方は、穴を掘って燃やして下さい。

穴の内壁が、火を断熱し、かつ、熱を反射しますので、よく燃えるはずです。

凝るのであれば、「ダコタホール」といって、空気取り入れ用の穴をもう一個、隣に掘って底のほうでつなげると、さらによく燃えるようです。

Dakota Fire Hole WiKi ダコタファイヤホール ウィキペディア

まあ、そこまでしなくても、火が強くなってきたら、「ボッ!ボッ!」と、炎の脈動が起きて、穴の周辺部から、空気を取り込み、二次燃焼現象も起きてきます。

炭を取りたい方は、ダコタホールより、こっちの「ただの穴」ほうがいいです。
ダコタホールは燃焼の為の空気を取り込んで、よく燃えるので、熾火が灰化してしまい、炭として残らなくなってしまいます。

商品的に、無煙炭化器なるものも、モキ製作所さんから、販売されています。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

MOKI 無煙炭化器 M 150 竹林用
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より、かっこよく燃やしたい方は、買ってみられてもいいのではないでしょうか?

穴を掘らなくてもよさそうですし。

ステンレスなので、サビて朽ちる心配もないし、熱の反射も土よりは良いのではないでしょうか?

私も欲しいところですが。どうしよう。

(と、以上、2020年11月29日に、従来の記事に、追記しました。
普通は、追記は、あとに書くものですが、以下に来る従来の記事の前フリが長すぎて、急いでいる人は困るだろうと思い、結論から申し上げる事にしました。
前の記事に手を入れようかとも思いましたが、これはこれで残しておくことにします。
暇な人は読んで下さい。)

前回、煙事件の事を書いたが、
あれから煙について、また考えてみた。

2013928ac
(煙を吹き出す桜島。)

世の中には一定数、煙の好きな人もいるし、煙の嫌いな人もいるという事。

これはご理解頂けるかと思う。

が、

また世の中には、一定数、異常に煙の好きな人(私の事だ)と、
煙は好きだが、煙の種類による人(例えば、タバコの煙は好きだが、焚き火の煙は嫌いな人、など。)
や、
異常に煙の匂いが嫌いな人。(洗濯物に煙の匂いが着くのがいや。という人は一定数いて、薪ストーブの煙クレームの発生問題はたまに聞く。薪ストーブ会社の人はこの問題の事は何も言わないが、要は日本が狭すぎるのだろうアメリカなどと比べて)

など、いろんな人がいる。

kiseru2017-09-01 16.18.54
煙を吸う人もいる。

ま、つまり、煙が好きか嫌いかは、顔を見ただけではわからない。という事である。

意外と煙好きそうな顔をしているくせに、煙が苦手である。というやっかいな人もいるので気をつけよう。

こうなると新興宗教のようで、顔が煙好きそうだと、うっかり煙勧誘など始め出してびっくりされてしまい、しまった事になるやもしれぬ。(いや、私はやらないが・・・)

まあつまりは誰も居ない所でやるのが一番なのだろう。

”やる”などと言うと悪事のようだが、焚き火や野焼きなどは別に法律上、禁止されている訳ではない。

(2018年12月5日追記〜 条例上、ダメな地域はあるだろう。また、廃棄物、ゴミを燃やすのは法律上でもダメである。
最近この記事の閲覧が多いので、念の為、追記しておくが、結局、住んでいる場所や、燃やし方の状況次第、という事になる。とにかく、見た目明らかなゴミを燃やすのは法律違反である。

〜弁護士ドットコム )

もちろんプラなどを燃やすのはいけないが木や草などを(畑仕事などの業務上)燃やすのは別にかまわない。
ただ、住宅地などで近所が近いと個人的トラブルが起きやすい、という事である。

そこで煙について私が認識を深めた本を紹介しておこう。

小型焼却炉についての本である。ごみ焼却炉の話なのだが、燃焼について、実にツボをつく記述があり、個人的にとても面白かった。

20151071content

小型焼却炉 三好康彦著 グーグルブックスで読めます

特に、「第3章 煙の出ない燃焼条件」中、なぜ、黒煙が発生するか?という記述は目からウロコだった。

要約すると、可燃性ガス中の、早く燃えやすい水素だけが燃えてしまい、あとに残った炭素が、黒煙になる。という事なのだが、なるほど、全ての燃焼物は基本、炭素と、水素の化合物なので、その結合が切れて水素だけ燃え、あとに炭素が残るという図式は、とてもわかりやすい。

そうなると、燃焼物により、ススの出かたが違うのは、それぞれの化学結合状態の違いによるのだ、と理解できる。

ちなみに、煙を出さないように燃やすには、

  1. 空気とよく混合させること。空気とよく混合していない火炎は、長くなり、結果火炎面が放射冷却され、燃えやすい水素が先に燃えて黒煙が発生しやすくなる。
  2. 燃焼室内温度を高くキープする事。燃焼温度の変動が激しい時は、補助バーナーを使って、燃焼室温度を一定にする。おおむね800度以上だと、煙の発生がない。
  3. 燃焼ガスと空気が一定時間、炉内に滞留すると煙の発生が見られなくなる。800度で、2秒程必要。
  4. 以上3点であるが、これらは相互に関連している点に留意。

(小型焼却炉 三好康彦著より要約)

 

炉内温度が800度というのはかなり高いので、普通の薪ストーブなどの燃焼ではありえないが(真っ赤になるだろう)補助バーナー使用だと、ごみ焼却炉でもこれくらいの温度に上がるらしい。

ダイオキシンの発生が200度から500度で、800度になると出ないらしいから、ごみ焼却炉では常に補助バーナーを使っているのだろう。

さらに排煙もアフターバーナーで燃やして煙が出ないようにしている筈だ。

 

さて、しかし、ふつうの焚き火で補助バーナーを使う人はいないだろうから、こんな高温度は無理である。

やはり焚き火で煙を出さないようにするには、

  1. 焚き火の温度を下げないよう、できるだけ乾燥した薪を使う。
  2. 火を囲って温度を上げる。
  3. 空気の流入を多くするため、ロケットストーブや、TLUDストーブなどのしくみをうまく取り込む。

といったところでしょうか。

煙の少ないひのき キャンドル   多孔式2点着火方式により、極短時間(2~3分)程で大きな炎が上がります! 着火時の煙を強制的に2次燃焼させる為、エネルギーロスが無く、煙の発生が非常に少ないのが特徴です。

しかし、よく乾燥した木だけを燃やすなんて都合のいい焚き火は、雨の多い日本の気候では、むずかしい。

キャンプなどの焚き火と違って、畑とかで燃やしたいものは、枝葉や、枯れ草などのかさばるもので、キャンプのように薪を燃やしてくつろぐ時とは、焚き火の性質が違うのだ。

そして、刈った草や、落ち葉など、水分が残ったものを、燃やすことが多いので、水蒸気を含んだ白い煙がもうもうと出て、大変な事のように見えるのが困るのだ。

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(野焼きの煙は、水蒸気を多量に含むため、白い煙がもうもうと上がる。また、水蒸気を含み重い煙なので、地上を這いやすく、停滞しやすいので、おおごとに見えるが、実はほとんど水分である。)

(余談ですが、発泡スチロールを燃やすと、大量の黒煙が出ますが、あれは炭素だけで、全くの無害だそうです。あの黒煙は、見た目すごく悪そうですが、塩素を含んでいないので、ダイオキシンは発生しないそうです。)

煙のもとは水分、もしくは水分を含んでいるので、燃えにくくなって、いぶる煙が出るのである。

(ただし、発泡スチロールや、ゴム、プラスティックなどの燃焼時の、黒煙は別。こちらは、単に酸素不足と、燃焼温度不足。)

という事は、野焼きなどで、もうもうと上がる煙は、ほとんど水分なので、キッチリ乾燥させてから、燃やせば煙が少なくなる筈である。

しかし白い煙が出ないよう、刈った草や、落ち葉を乾燥させるために、わざわざ屋根付きの薪小屋みたいなものを作る訳にもいくまい。

そこで思うに、ドラム缶に、まず、枝葉や、枯れ草をつめておき、晴天下で、数日さらして乾燥させてから燃やすというのはどうだろう?
これなら、最初は煙が出るだろうが、温度が上がってくればほとんど煙は出ないのではないだろうか。

モキ製作所の焚き火どんどんという、焼却炉が、ネットでよく見るが、これは、燃焼温度が高いようなので、こういうのに詰めて乾燥させてから、焼いたらさらに煙は出にくいだろう。

sc2017-09-01 4.03.49 PM 2

小さいのもあるようだ。

sc2017-09-01 4.03.49 PM

焚き火どんどんについて、ネットで調べてみたが、このサイトが詳しいようだった。
撃退百貨店
Q&Aがあったが、やはり「雑草、生木は煙るので、乾かしてから燃やして下さい。」とあった。

お金をかけたくないのなら、やはり、自作しかない。
今は、ネットのおかげで、いろんな自作派の方々の記事が出て来るので、大変ありがたい。

昔のようにドラム缶に穴を開けただけでなく、二次燃焼のしくみを使ったウッドガスストーブ、TLUD(トップリットアップドラフト)が、無炎燃焼に向いているようだ。

原理は、このキャンプ用の小枝ストーブ、ソロストーブがわかりやすい。

友人が使っていて。面白いのでそのうち買おうかな、と思いつつ、結局まだ買っていない。

sc2017-09-01 3.52.52 PM 2

sc2017-09-01 3.52.52 PM

201599a

(最後に〜 2018年12月5日追記

この記事を書いてから、4年近く経つが、冒頭でも追記したように、最近この記事のアクセスが多い。
皆さん「煙のでない燃やし方。」で悩んでいらっしゃるようだ。

誤解をまねかないよう、煙と、炎について、私の考えと、立ち位置を言っておこうと思う。

荒野の中で、煙を出すのなら、問題はないだろうが、結局、まわりに人がいるから、その密度によって、問題が起きるのである。

ところが逆に、人の密度が多くても、どんど焼き、や、鬼火焚き。農業や、林業仕事での野焼きなどであれば、堂々と、煙を出せる訳で、こちらは周りに人がいても問題ない。

しかし、そのような行事や、共同作業は、今の時代だんだん少なくなって来ている。
地方の高齢化、人口減(過疎とも言う、変な言葉だが。疎が過ぎるとは、どういう意味だ?)
のせいである。

そして逆に、都市部の人の密度は高くなって来ており、そういう所での煙のトラブルは多い。薪ストーブの煙苦情などである。
もちろん鬼火焚きなど出来るはずもない。

人の密度が高くても、煙に文句言われる場合と、文句言われない場合があるというのが面白い。

また、少子高齢化と、地方の人口減が進むほど、煙と、炎が人間の生活の周りから、減っていくというのも、何かの符号のようで面白い。

炎と、煙を駆逐していくようでは、生活はますます、息苦しくなっていくだろう。
そして、炎と、煙のありがたみを知らない人間が増え、ますます炎と煙は遠ざけられていく。

(炎は、ともかく、煙にありがたみがあるのか?と思うが、煙をくゆらせてくつろいだり、煙を肉に当てて、燻製に出来るありがたみがあるのだった。)

少子高齢化というが、20年前に、ちょっとした何らかの手を打っておけば、今頃は、その子らが税金を収め始めているのだ。

いや、16になれば、バイクに乗ったり、タバコを吸ってくれるので、ガソリン税や、たばこ税を収めてくれる。

いやいや、自分で、お買い物に行ける年になれば、小遣いから、消費税を払ってくれるではないか。

そんな簡単なフックも起こさずに、自分の知り合いと、アメリカにお金をばらまくしか能のない、無為無策のマスターはほっといて、私は少々、迂遠ではあるが、炎と、煙のありがたみをボディに伝えていく事で、地方の人口減と、少子高齢化の流れに逆らっていけるのではないかとバカバカしくも考えているのである。
「風が吹けば桶屋が儲かる」の伝ではあるが、無為無策よりはましだろうと思う。)

前回の煙事件の記事はこちら。「薪風呂のレンガ積み」

そして、焚き火用の釜を作った。

 

薪風呂のレンガ積み。〜窯の構造がよくわかったのに邪魔が入る。

友人が建設中のセルフビルドの家に、薪風呂のキットを取り付けるという連絡が入り、
面白そうなので手伝いに行く事にしました。

この薪風呂キット、鋳物製のホーローの風呂桶に、耐火煉瓦製の煙道と、焚き口がセットで付いているもので、薪風呂が好きな人なら一回はネットなどで見たことがあるかもしれないですね。

直焚浴槽と築炉ユニットの販売

私は建材屋のショールームで現物を見たことがあります。

おお、これは面白そうなのがあるなあ!これならいちいちレンガで煙道を作らなくていいから楽かも。

そうです、このキットは薪風呂作りのプロの技術の浴槽をぐるりと巻いて熱を無駄なく風呂桶に伝える煙道、がキットで手に入るのです。

ちょっと欲しくなりますよね。

値段も炉床部分のレンガを自分で買う分を入れて、約20万。どうですか?

ただ全体が風呂桶も入れてむちゃくちゃ重そう。鋳物製の浴槽など4人がかりでやっと運べるか?という感じ。
腰に来そうです。

さて、この風呂桶をチェンブロックで吊って既に組んである薪風呂窯の一段目に据えます。

どん。

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そして二段目の浴槽を巻く煙道を積みます。

mo_20159262

写真を撮っていなかったので、わかりずらいですが、二段目の煙道部分は、3,4センチ厚の薄い板状のパーツを一段目の上に壁のように積み、その上にL字のパーツで、四隅にフタをして、出来上がります。

板状のパーツの内部を煙道が走っている構造です。
パーツの裏側が掘ってあって、それをつなげれば、煙道ができる訳です。
なるほど、これならレンガを積んで煙道を作るよりかんたんです。
 

参考までにやまと屋さんの”直焚浴槽”のリンクを貼っておきます。興味のある方はどうぞ。

やまと屋”直焚浴槽の参考資料”

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さて、キットとしてはこれで終わり。これに煙突をつけたら焚けます。

しかしこれは家の風呂ですので、まだまだやる事はいっぱいあります。

とりあえずは正面の焚き口と、煙道掃除口を積みます。

こんな感じで。(イモ目地にならないよう1段ずつレンガをカットしつつ、とりあえず空積みしてみる。)

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よっし!これで一気に積んでしまいましょう!

と、積んでたら、トラブル発生。

作業場の所で余った端材やら、ダンボールやらを焚いていたら、オマーリさんがたまたま威圧的黒白クルマで巡回中で、ちょっと一言何か言いたかったらしく、それはシゲンゴミなのでそこで焼いてはいけない、と、おっしゃる。

はいはいと言いつつ無視してたら、暇なのだろう、しばらくしてまた来た。

さっき言いましたよねー!

ああ、ヤクザ怒らせちゃったよ。

この先は自由建築施工実行主と、黒白クルマ運転手(制服付)と、その応援団約3名(あとで追加投入された)の不毛なギロンが延々と続くのだが、私は無視して、レンガ積み。しかしハラは立つ。

野焼き上等!

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住宅密集地市街地ならともかく、田舎の緑多きところで、焚き火して何が悪いのだろう。
むしろ虫がいなくなるからいいのに。

火の焚き方を知らなくなって人間はますます劣化する一方だ。

焚き火、野火、バーベキュー、炭焼き、薪風呂、いろんな火の焚き方を状況によって使い分けてこそ真の知恵がつくというものだ。本来、火が危険なものであるからこそ。

ま、しかしこの焚き火及びケムリ問題は、法律もある事だし、これからちゃんと検討していかなくてはいけないと思います。
とは言っても、田舎と住宅地の違い、ケムリの多寡、季節、時間帯、それぞれのケースでマナーと、節度をもって注意深く火を扱えば良いだけの事です。
そもそも火を点火した人は、皆さん用心して火を扱っていると私は思います。

それにしても権力の人は、無辜な市民には4人がかりでやって来ますが、憲法を守らない政治家や原発会社にはとても大目で、従順なのですね。

ご苦労様です。

さて、大幅に横にそれました。

夕方になってようやくレンガ積み終了!

やれやれ。

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さて、お風呂工事はまだまだやることがいっぱいです。

こちらの工事はこれからなので、最後に、私の山の家の薪風呂をお見せして終わりにします。

風呂内部。

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洗い場の排水口と、浴槽の排水口を開ける為の四角い穴(ピット)があります。
この2つの排水は、底で一つに繋がって排水パイプへ行きます。

浴槽排水の為のピットの内部。

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右浴槽側はコンクリのベタ、残り3面はレンガを積んでいます。排水パイプの口が見えます。

最後に煙突。
昔の(貴重な)石綿煙突です。
レンガは縦積みしてあり、最後煙突を乗せる所だけ横積みにしてあります。
縦積みにする事で、煙突内部の断面積を広く出来ますし、(煙突の直径が大きくなる)石綿煙突の直径も150ミリΦありますので、この薪風呂はものすごく引きが良く、掃除口を外して引きを弱くしている程です。

また、炉内も耐火レンガでなく、赤レンガで作ってありますので、熱を余計に吸わず、早く沸きます。

吹きガラス炉作りのベテランの方が、窯はなるべくレンガを少なく使って作れ。とおっしゃっていたのを思い出します。

レンガというのは密度が高いほど、熱を吸いますので、冷めている時に焚くと、レンガを暖めるのにかなり時間を取られます。

なので窯はなるべくスカスカに、空気で断熱できるスペースを作りながら作れ、という事なのです。

ところでこの煙突には傘がありません。

こんなんで焚けるのだろうか?と、薪風呂作りの左官職人さんに聞いてみたら、
全く要らない。のだそうです。

その人の自宅の薪風呂の煙突も傘なしでした。

実際最近のどど降りの雨の時も、特にいつもと違いなく焚けたので大丈夫なんでしょう。

不思議ですが。

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それにしても、薪風呂を作るのはけっこう大変です。

なんとかならんかな、とアマゾンを見ていたら、定番のドラム缶風呂やら、ポータブル風呂とか、出てきました。

なるほど、こうゆうのがあれば、薪風呂が出来上がるまでの間、臨時で使えるかもです。