さて、次に、
古い配管をはずし、新しい配管を引き回す作業だ。
この作業が一番大変だった。
自宅のほうも、工房のほうも、室内機から、室外機まで、距離がけっこうあり、壁の穴を通すために、脚立を降りたり、昇ったり、しかも配管が通るところに、いろんなものが置いてあるので、それらをいちいち片付け、ホコリを払い、と面倒くさい。
そして配管は、エアコン用の二本の銅管と、排水用のドレンホース、電源用のVVFケーブルの四本を、あらかじめテープで巻いておかないと、穴をくぐらせられない。
さらにエアコン用の銅管は、室内機と、室外機の、フレアナット結合部にナットが来るように、配置を決めておかないと、あとで来るエアコン取り付けの最も重要な部分である、フレアナット締め付け作業がやりにくくなる。
このへんが、エアコン作業のキモのところなんだろう。
冷気と温風が隣り合っているスポットクーラは、これをしないから楽なのだが。と、ブツブツこぼしつつ、平常心で作業を進める。
この作業には道具というか、必要用具で、当然配管セットがいる。
これは普通エアコンには付いてこない。普通業者が持ってくるから。
必ず、事前に室内機と、室外機を置く場所を決めてから配管の長さを計り、必要な配管セットを買わないといけない。
少し、余裕があったほうがいい。
そして、両端に、フレア加工をしてあるものを買うと、自分で配管を切って、フレア加工する手間が省け、専用工具(フレアツール、パイプカッター、リーマー)を購入せずにすむ。
私は7メートルのものを買ったが、幸いにフレア加工してあった。
だが、届いてから開けてみると、VVFケーブルが入っておらず、ドレンホースもなぜか3メートル。おいおい途中でおもらしさせろと言うのかね?
仕方ないので、VVFケーブルは別途購入、VVF三芯Φ2.0を買ったが、1.6mmΦでも良いようだ。
VVFの規格,渡り線の接続工事はΦ1.6mmでも問題ない?
ドレンホースは前のを使いまわす。少々、長さが足りないので、ドレンジョイントと、新ホースが少しいるかと思ったが、ドレンは排水できれば良いので、短くても済んだ。ドレンジョイントもいらない。ホースの16Φと18Φのところで、ジョイントして、テープで巻いとけばOKだった。
さて、室内機の背板を、壁に取り付け、(この時水平器がいるが、いまどきどのスマホにも付いている。)ドレンの水が抜けるよう、下がり勾配にセット。ここは気を使う。水が漏れたらいやだし。
VVFケーブルをつないでから、いよいよ、配管の締め付け。
こここそが、エアコン取り付けの山場、と言ってもいいだろう。
フレア部の銅が、グニュっと、延展する手応えを感じつつ締め付けるという、プロっぽい作業だ。
本当はトルクレンチが必要、と言われているが、なしでやった。
買うべきかかなり、悩んだが、あれはどの動画だったか、わからなくなってしまったが、さかなさんの動画で、
「トルクレンチ使わないほうが、ちゃんと出来る。決まっているから業者としては使わないといけないけど。」
とゆうような事を言っていて、たしか、冷凍機油をフレアに塗る時、ネジ部まで塗ってしまうと、締め付けトルクが変わってしまうが、その対応には、手のほうが確実。という事だったと思う。
ナイログ。冷凍用潤滑油から派生した粘弾性物質。硬化せず、乾燥せずに、あらゆる物質に粘着する液体。1滴のナイログは、約90cm引っ張っても切れません。
さらに、いるかさんの動画では、実験を重ね、角度で合わせれば、トルクレンチなしでも大丈夫だとおっしゃっていて、私がこの動画を見たのは、自分の作業が終わったあとだったのが残念。
とにかく、トルクレンチ云云より、「古い配管のフレアを使い回さない事。」あたり前か、
と、フレアナットを締め付けるとき、両方の配管と、フレア面をまっすぐに合わせ、(これがけっこう難しい。)ナットが手でスッと回るところまで手で締め、最後にレンチをダブルがけで締める。手でスッと回らないのに、工具でむりやり締めてはいけない。
この点に尽きると思う。
そして更にいるかさんは、この動画で、大胆にも、
「真空ポンプもいらない。」と宣言してらっしゃる。
案の定、いろんなコメントが付いて、賛否両論。まあ、賛成派が圧倒的だが。言いたい人はどこにでもいるものである。
私は真空ポンプと、シングルマニホールドゲージを買ったあとだったのが残念。
望むべくは、いるかさんがこの動画でおっしゃっておられる、「冷媒置換」という概念が、エアパージは手抜き、という概念を駆逐してくれる事だ。
いろんな意見があるようだが、その喧々諤々っぷりが、天動説と、地動説のようで、面白い。
「それでも地球は回っている。」と宣言するか、それとも、
「いや、天が回っているのだ!」とやはり主張するか?
列車の発車を待っていて、「あれ?向こうが動いている。」と思っていたら、実は動いているのはこっちだった、という経験のある私としては、どっちとも言い難い。
100年ぐらいしたら変わるのかもしれないが。
とりあえず、取り付けはお二人のおかげで無事に済んだ。
自宅のほうも取り付け、今のところ、正常に動いている。
この場を借りてお二人に改めて、お礼を申しあげたい。
ありがとうございました。