友人が建設中のセルフビルドの家に、薪風呂のキットを取り付けるという連絡が入り、
面白そうなので手伝いに行く事にしました。
この薪風呂キット、鋳物製のホーローの風呂桶に、耐火煉瓦製の煙道と、焚き口がセットで付いているもので、薪風呂が好きな人なら一回はネットなどで見たことがあるかもしれないですね。
直焚浴槽と築炉ユニットの販売
私は建材屋のショールームで現物を見たことがあります。
おお、これは面白そうなのがあるなあ!これならいちいちレンガで煙道を作らなくていいから楽かも。
そうです、このキットは薪風呂作りのプロの技術の浴槽をぐるりと巻いて熱を無駄なく風呂桶に伝える煙道、がキットで手に入るのです。
ちょっと欲しくなりますよね。
値段も炉床部分のレンガを自分で買う分を入れて、約20万。どうですか?
ただ全体が風呂桶も入れてむちゃくちゃ重そう。鋳物製の浴槽など4人がかりでやっと運べるか?という感じ。
腰に来そうです。
さて、この風呂桶をチェンブロックで吊って既に組んである薪風呂窯の一段目に据えます。
どん。
そして二段目の浴槽を巻く煙道を積みます。
写真を撮っていなかったので、わかりずらいですが、二段目の煙道部分は、3,4センチ厚の薄い板状のパーツを一段目の上に壁のように積み、その上にL字のパーツで、四隅にフタをして、出来上がります。
板状のパーツの内部を煙道が走っている構造です。
パーツの裏側が掘ってあって、それをつなげれば、煙道ができる訳です。
なるほど、これならレンガを積んで煙道を作るよりかんたんです。
参考までにやまと屋さんの”直焚浴槽”のリンクを貼っておきます。興味のある方はどうぞ。
さて、キットとしてはこれで終わり。これに煙突をつけたら焚けます。
しかしこれは家の風呂ですので、まだまだやる事はいっぱいあります。
とりあえずは正面の焚き口と、煙道掃除口を積みます。
こんな感じで。(イモ目地にならないよう1段ずつレンガをカットしつつ、とりあえず空積みしてみる。)
よっし!これで一気に積んでしまいましょう!
と、積んでたら、トラブル発生。
作業場の所で余った端材やら、ダンボールやらを焚いていたら、オマーリさんがたまたま威圧的黒白クルマで巡回中で、ちょっと一言何か言いたかったらしく、それはシゲンゴミなのでそこで焼いてはいけない、と、おっしゃる。
はいはいと言いつつ無視してたら、暇なのだろう、しばらくしてまた来た。
さっき言いましたよねー!
ああ、ヤクザ怒らせちゃったよ。
この先は自由建築施工実行主と、黒白クルマ運転手(制服付)と、その応援団約3名(あとで追加投入された)の不毛なギロンが延々と続くのだが、私は無視して、レンガ積み。しかしハラは立つ。
野焼き上等!
住宅密集地市街地ならともかく、田舎の緑多きところで、焚き火して何が悪いのだろう。
むしろ虫がいなくなるからいいのに。
火の焚き方を知らなくなって人間はますます劣化する一方だ。
焚き火、野火、バーベキュー、炭焼き、薪風呂、いろんな火の焚き方を状況によって使い分けてこそ真の知恵がつくというものだ。本来、火が危険なものであるからこそ。
ま、しかしこの焚き火及びケムリ問題は、法律もある事だし、これからちゃんと検討していかなくてはいけないと思います。
とは言っても、田舎と住宅地の違い、ケムリの多寡、季節、時間帯、それぞれのケースでマナーと、節度をもって注意深く火を扱えば良いだけの事です。
そもそも火を点火した人は、皆さん用心して火を扱っていると私は思います。
それにしても権力の人は、無辜な市民には4人がかりでやって来ますが、憲法を守らない政治家や原発会社にはとても大目で、従順なのですね。
ご苦労様です。
さて、大幅に横にそれました。
夕方になってようやくレンガ積み終了!
やれやれ。
さて、お風呂工事はまだまだやることがいっぱいです。
こちらの工事はこれからなので、最後に、私の山の家の薪風呂をお見せして終わりにします。
風呂内部。
洗い場の排水口と、浴槽の排水口を開ける為の四角い穴(ピット)があります。
この2つの排水は、底で一つに繋がって排水パイプへ行きます。
浴槽排水の為のピットの内部。
右浴槽側はコンクリのベタ、残り3面はレンガを積んでいます。排水パイプの口が見えます。
最後に煙突。
昔の(貴重な)石綿煙突です。
レンガは縦積みしてあり、最後煙突を乗せる所だけ横積みにしてあります。
縦積みにする事で、煙突内部の断面積を広く出来ますし、(煙突の直径が大きくなる)石綿煙突の直径も150ミリΦありますので、この薪風呂はものすごく引きが良く、掃除口を外して引きを弱くしている程です。
また、炉内も耐火レンガでなく、赤レンガで作ってありますので、熱を余計に吸わず、早く沸きます。
吹きガラス炉作りのベテランの方が、窯はなるべくレンガを少なく使って作れ。とおっしゃっていたのを思い出します。
レンガというのは密度が高いほど、熱を吸いますので、冷めている時に焚くと、レンガを暖めるのにかなり時間を取られます。
なので窯はなるべくスカスカに、空気で断熱できるスペースを作りながら作れ、という事なのです。
ところでこの煙突には傘がありません。
こんなんで焚けるのだろうか?と、薪風呂作りの左官職人さんに聞いてみたら、
全く要らない。のだそうです。
その人の自宅の薪風呂の煙突も傘なしでした。
実際最近のどど降りの雨の時も、特にいつもと違いなく焚けたので大丈夫なんでしょう。
不思議ですが。
それにしても、薪風呂を作るのはけっこう大変です。
なんとかならんかな、とアマゾンを見ていたら、定番のドラム缶風呂やら、ポータブル風呂とか、出てきました。
なるほど、こうゆうのがあれば、薪風呂が出来上がるまでの間、臨時で使えるかもです。