細い注ぎ口のついた、カラカラとか、すいのみ、とか、水滴などをたまに作る。
作らないと作り方を忘れてしまうから、たまには作らないといけない。
作り方は、本体が吹棹に付いている状態で、熱いガラス種を、注ぎ口にしたい所にペトッとつける。
そして、吹棹に息を吹き込むと、熱いガラス種が、本体の身ごと(熱いガラス種の温度で、本体のガラスもいっしょに熔けて)膨らんでくるので、適当な長さまで延ばし、切りたいところを、火箸やピンサーでつまむとそこから冷めて切れるのである。
手伝いがいたり、付ける種の量が多いなら、種を種棹から切り離してもいいが、この写真のものくらいなら、種棹はつけたままのほうが、素早く作業できる。
つける種の温度を利用して、本体のガラスを熔かすのだから、早く息を入れないと、硬くなって、上手いこと膨らまない。
こうゆう熱燗用のカラカラとか、またはポッペンなどは、昔のガラス職人は昼休みにひょひょいと作り、子供のみやげとかにしていたらしい。徐冷もしない。
薄手に作るし、温度を見極めてちょいと水につける事で強化ガラスのようにしていた、とのことだ。
この話は、昔の大阪のガラス工場で、働いていた師匠から聞いた。
昭和30年代頃、この頃はガラスで作れるものはまだ、ほとんど職人が吹いて作っていたとの事。
ブラウン管とか、電球の玉とかもである。
今なら機械で作るものも全部職人が作っていた訳で、その頃の職人の腕は相当なものだったのだろう。
毎日いろんな製品をA品として作っていたのだから、カラカラや、ポッペンを昼休みに軽く作れたのもガラスに対する慣れが全然違ったのだろう。
私もポッペンを作ってみたが、半日やって、きれいな音がペッポンと鳴るのは2,3個しか出来なかった。
コツがあるのである。