頼まれて大きめのコップを作った。
こういうシリンダー型のグラスの場合、下半分だけでも型を作ると仕事がやりやすい。
で、このコップの型に何を使ったのかというと、「竹」である。
私は鉄型やら、木型やら、ブリキ型、それぞれ使うのだが竹をみるたんびに、
「こいつにいれてみたいものだ」と、
常々思っていた。
吹きガラス吹きにもいろいろいて、穴と見れば何にでも吹き入れてみたくなるタイプ、つまり型もの好きタイプがいる。
私の北海道の師匠がこのタイプで、彼はコンクリートブロックの穴に吹き入れて棹が抜けなくなり困っていたのを、おかしく思い出す。
二回目はちゃんと加減して入れて、かっこいいとっくりを作っていたが。
この穴と見れば何にでも入れたくなるのは、私の同級生にもいて、彼は校庭に掘った穴に入れていた。
何を入れていたのか私も思春期で未熟者だったので、よく分からないが、多分やはり、竿様のようなものであったのではないだろうか。
女子高生の走った汗のあとのとこがいいとか言っていたが、なにがいいのか未だに不理解千万である。
抜けなくなって騒ぎになったらわかったのかもしれないが。
ま、それはさておき。
竹形はこんなふうになった。
なかなか使えて、うれしい。
いろんなサイズの太さで試してみたいものだ。
内部はこのように、よく焼くと黒くカーボンが付いて、ガラスの肌がきれいになる。
まあ、そうゆう事で、竹もなかなか吹きガラスの型として使えるのだが、ただ、欠点が2つほどあって、竹を水にずっと漬けておくと、アクが出るのか、すごい「腐った刺激臭」が出ること。
「柿渋」の匂いをご存じのかたがいらっしゃるだろうか?
まさにあの匂いといっしょの匂いである。ちょっと癖になりそうな。
このアクがあるから、竹はあまり虫に食われず強いのかもしれない。
2点めは、「竹は必ずしも完全な円形ではない」と言う事。
自然のものだからか、完全な円ではなく、楕円が多いようだ。
廻し吹きすれば問題無いだろう。
以上、竹型について。
参考になれば幸いである。