“薪と炭を使って吹きガラス”

「機」というものは、熟する時を待っているかのようだ。

そして何かのきっかけで実現する。

 

薪を焚いて吹きガラスをやるなんて、冗談話で笑うレベルで、実現させようなどとは全然思っていなかった。

 

アフガニスタンのヘラートという町で、ターバンを巻いた痩せた髭親父が、
短い棒の先にガラスを巻き取り、吹きガラスのような事をしていて....

その横で、女の子が、薪を窯にくべている...のを、NHKのテレビで見たおぼろげな記憶や、

 

私の好きなレーマー杯が、森を一山潰して作られたほど、貴重なガラス製品だった事など、

 

知識としては、薪で吹きガラスをやってやれん事もないだろう、

ただし、膨大な手間がかかる・・・

一人じゃムリ。

と、思っていた。

 

だが何だか今年から、薪を焚く機会がやたらと増えた。

 

借りている山の家での、煮炊き、風呂、暖房はすべて薪である。

なので薪がいくらあっても足りない。

 

そこで、ロケットストーブという、新しい概念を導入し、薪の節約につとめてきた。

 

ところがもう一つ、ロケットストーブと裏表の兄弟のように、ウッドガスストーブ(TLUDストーブ)という、燃やし方が出てきた。

 

これはまあ、要するに、日本古来の炭窯や、もみがらを利用した、ぬくかど、などの伝統技術を新しい言葉に置き換えて、新しい器具を使って、木質バイオマスを利用しようという事なのだが、これまた面白い燃焼をするのである。

 

ロケットストーブは、うまく燃やすと、きれいに完全燃焼し、ススの付かない「煤切れ」の温度、400度以上だろう。

まで排煙の温度を上げて、燃やす事が出来た。

 

そして反面、友人がアマゾンで買ったウッドガスストーブは、炎好きの人間なら、飛びつく魔法の言葉「二次燃焼」を、デイパックに入る程の小さなサイズで軽々とやって、ひとつかみの杉っ葉で、10分もかからずお湯を沸かし、美味しいコーヒーを淹れてくれた。

そのような、薪割りが日課、という生活に突入しつつあった頃、

いつもの散歩道に行ってみると。

 

 

201464a

くすの木の大木が切り倒されていた。

そしてその下には、大量の木質バイオマスが・・・

ま。要するにバイオマスとカッコつけんでも、大量の葉っぱと、枝と、幹、
なんだが。

 

 

201464b

山の家の薪調達が最優先事項だった私は、

すぐに、

「これ、もらってもいいですか!?」

と、木を切っていたおじさんに聞いた。

「おーいいよー。遠慮はいらんから全部もってって!」

やった!大量の木質ばいおます、ゲット!

と、喜んだが、

量がハンパない。

多分、二冬分くらいは十分に暖まる薪の量だと思う。

割っても、割っても、まだまだある。

 

 

しかし、ほぼ生木なので、今はまだ燃やせない。

ストーブや囲炉裏で燃やすのには、まだまだ乾燥させないとダメだ。

 

 

mo_2014631

だけど、炭窯に入れて炭にしてしまったり、ウッドガスを抽出するのなら、生でも問題ない。

 

えーい、そんなら、ガラス窯に入れてしまえ!

と、ガラス窯で、薪を焚き始めた。

 

ま、つまりこれが、

"薪と炭で吹きガラスをやる"

きっかけになったのである。

 

トリガー「引き金」は、熟する時を待っていたのだ。

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