ガラスの生地は同じように見えても実はいろいろあって、透明なガラスでも、窓ガラスと、瓶とは成分が違うし、工芸用のガラスという特殊な分野でも、薩摩切子などのカットガラスと、私たちのような吹きガラスとは、また成分が違う。
どうして違ってくるのかというと、ガラスの原料に混ぜるものによって、ガラスの性質は違ってくるからである。
ガラスというのは、ダイヤモンドなどの単体結晶体ではなく、いろいろなものが混ざった化合物である。
そしてその主成分は硅砂という、砂状のものが、主なのだが、それ単体では、よほど高温にならないと熔けてくれない。
そこで触媒として熔けやすくするものを化合物として加えると、温度が低くても、硅砂が熔けてくれるようになる。
カットガラスだと、鉛がそれであり、瓶などだとソーダ灰を混ぜる。
薪窯の焼き締めの器が、釉薬を塗っていないのに、ガラス質のように表面がてかるのは、薪の灰のカリ成分が粘土中の硅砂を触媒として熔かすからである。
従って、ガラスも初期の頃は、薪の灰から、カリ分を抽出し、硅砂を熔けやすくしていたらしいのであるが、それは大変な手間だったそうである。
さて、であるから、何が言いたいのかというと、ガラスの生地も同じように見えて、実は千差万別である、と言いたかったのである。
作り手としては、なるべく自分の好きな感じの生地を作りたい。
私は最近、この画像のように、硬くもなく、柔らかくもない、感じ、の生地を目指している。
と言っても透明なガラスだと、どこが違うのかわかりにくいかと思うが、人間の感覚というのは敏感なもので、実物を見て、触ってみると、「あ、このガラス柔らかい」とか、「ずいぶん硬い感じのガラスだな。」と違いが確実に判るものだ。
という事で、実物を触って見たい方は、6月18日から、鹿児島のエムズギャラリーさんで、展示するので、ぜひ触ってみて欲しい。