もう夏のように暑い鹿児島と、まだ雪やまぬ北海道からの合同展示会が霧島の更紗さんで。

 

このところ鹿児島はもう夏のような超陽気で、昼間はTシャツでいいくらいだ。

こうなるとガラス小屋の中は35度超えで、当然汗を流している。

吹きガラスの仕事は火の前にずっといるので当然のように暑く、冬のごく寒い時を除いて、汗ばかりかいている。

体がなんかもう汗をすぐに出さねば体質になっているので、ちょっと暑いともう、だばーと汗が出る。

ずっとこの調子なので、蜂に何回も刺されたらショック症状が出るというアナフィラキシーのような、というのも、ちと大げさだが、汗をかかずにすむのなら、なるべくかきたくない症状になっている。

で、辛ーいカレーを食べても、頭から背中まで、どっと汗がでるのでカレーはなるべく甘いのを食べるようにしている。

いつも大汗をかいているので、食べ物を食べる時は普通の人のように涼しい顔をして食べたいのだ。

北海道は吹きガラスに向いている。

もう10数年以上も前になるが北海道に一年だけ住んだことがあるが、吹きガラスには天国のような気候だった。

それ以来、夏は北海道で、冬は鹿児島で吹きガラスの仕事をするのが夢なのだが、未だ夢のままである。

北海道で、ひたむきに作陶に励まれている七尾ご夫婦と鹿児島の霧島で展示会である。

北海道で焼き物をするのは粘土が凍ったりして大変なのは、私も以前に見聞きして知っているが、ご夫婦で助け合って作陶していらっしゃる様子が目に浮かぶような作品たちである。

七尾氏が撮影された私のガラスの小瓶たちも、雪の中で静かに落ち着いて佇んでいるようだ。

三人三様の作品をお楽しみ頂ければ幸いである。

 

 

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ノコギリで切れるレンガもあるのだ。

最近もらいものの多いモリナガですが、またもらいました。

今回は、ドーン!とパレット積みレンガを大量にもらいました。

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ほとんどが軽い断熱レンガです。

レンガには稠密で重たい「耐火レンガ」と、発泡スチロールのようにスカスカで軽い「断熱レンガ」とその両方のいいところをとった「耐火断熱レンガ」があります。

このうちスカスカで軽い断熱レンガは、スカスカとノコギリで切ることができます。

このように目の粗いノコギリでいくらでも好きな形に切る事ができるので、窯をつくるときには重宝します。

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ただ直接火の当たるところに使うと、侵食されたりしてすぐボロボロになってしまうのが難点なのですが。

まあこんだけあれば、いくらでも実験できるので、次回改造の時に使ってみるつもりです。

グラスウールも断熱性は高いのだけど、断熱レンガのほうが粉塵が出にくい点で、安心感がありますね。

 


 

ガラス窯の温度は温度では測れない熱度の問題なのだ

今度の窯は燃費がいいなあ。

と喜んでいたらなかなか温度が上がらず、ガラスが硬い。

エアーを強くしたり、二次空気の流入がよくなるようにファンを付けてみたり、ダンパーを開けてみたり、いろいろやってみるが、万策つきる。

温度が低いままだとガラス生地の表面に結晶化した膜ができてしまう。

「結晶」というとなんかきれいなようだが、実際は小麦粉を混ぜそこなった「ダマ」のようなもので、少ないと生地のテクスチャーにもなるが、多すぎると汚くなってしまう。

吹きガラスの生地でいろいろとトラブルが起きるときは「とりあえず温度を上げればなんとかなる」のは経験上わかっているのだが、今回は、温度を上げようと油を出してもススが出るだけで、きれいに完全燃焼しない。

これはもう窯内部のレンガの置き方や、ルツボへの火の当たり方が根本的に問題なので、もうどうしようもない。

あとはもう一回バラしてやり直すしかないか。と諦めかけたが、最後の手段、バーナーの向きを変えてみることにした。

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結果、まあなんとか普通に仕事できるレベルにはなった。

しかし、まだ「ダマ」が多いので、スキミしながらの作業になる。

キビシイ。

桜が咲きました

ソメイヨシノではありません。
うちの畑のサクランボの木の桜です。

今年は実がいっぱいなるかな。

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「子供より親が大事と思いたい」

は太宰の「桜桃」の冒頭と結部の言葉でしたね。

桜桃と書くとなんだかモモみたいでサクランボの感じがしないんだけど、太宰の桜桃はやっぱりサクランボと書くより「桜桃」オウトウ、のほうがいいですね。

 

「子供より親が大事、と思いたい。子供よりも、その親のほうが弱いのだ。

桜桃が出た。

私の家では、子どもたちに、ぜいたくなものを食べさせない。子供たちは、桜桃など見たこともないかもしれない。食べさせたらよろこぶだろう。蔓を糸でつないで、首にかけると、桜桃は珊瑚の首飾りのように見えるだろう。

しかし、父は、大皿に盛られた、桜桃を、極めてまずそうに食べては種を吐き、食べては種を吐き、そうして心のなかで虚勢みたいに呟く言葉は、子供よりも親が大事。」

太宰治 「桜桃」結部より

かま猫じゃなくて、ふくろ猫の昼寝

宮沢賢治の童話に「猫の事務所」というお話がある。

他の猫より皮が薄くて風邪をひきやすいので、いつもかまど(竈)の中に寝ている猫のお話だが、うちの猫は今日、空いた米袋の中で昼寝していた。

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猫というのは実に暖かいところを好むようで、うちの猫もちょっと油断すると、ノートパソコンの上に乗ってたり、七輪火鉢のフチに無理やり乗ってたりする。で今日はふくろ猫。

賢治のかま猫くんはお仕事があって、猫の歴史や地理を調べたりするお役所のような猫の第六事務所に勤めている。

たまにべーリング地方とかに旅行に行くお金持ちのぜいたく猫が来ると旅行先の地理や、有力者などを帳面からさらって教えてあげるのがお仕事らしい。

かま猫君はとても性格がよくて、まじめなのだが、なにせ、いつもかまどの中で寝るので、あちこちススがついてきたなく、事務所のほかの猫達からいじめられている。

事務長がさりげなくかばってくれていたので、なんとか、かま猫君はがんばっていたのだが、風邪をひいて休んでしまったある日、その事務長もいじめ猫がついた、「あいつは宴会に呼ばれているようですぜ」という、ありもしない嘘のつげ口に、

「おれの知らない宴会に行ってるのか!」

とおこり、かばう者のいなくなった竈猫いじめはピークをむかえる。

そして、たまたま通りかかった獅子が、その様子を見て一喝するのだ。

「お前たちは何をしてゐるか。そんなことで地理も歴史も要ったはなしでない。やめてしまへ。えい。解散を命ずる」

そしてお話は最後に賢治がこう言って終わる。

”ぼくは半分獅子に同感です。”

このお話を読んでいけば、ほかのいじめ猫たちが実に憎たらしく描かれているので、最後に獅子がバッサリやるところで、竈猫君に同情している読者はたいがい、水戸黄門のようにスッキリするのだが、なぜ、賢治は「半分獅子に同感」なのか?

読んだ最初の頃はずっと疑問で、何かにつけ引っかっていたのだが、ある日、チーンとわかった。

いじめっ子がバッサリやられるのは確かに気持ちがいいのだが、獅子のような権力者の上からの命令で、状況が一変してしまう事の危なさを賢治はわかっていたのではないだろうか。

賢治が亡くなるのは第二次大戦が間近に迫ってくる時代だ。

上からの命令で運命がガラリと変わってしまう恐ろしさを詩人の感性はとらえていたのではないだろうか。

獅子の一喝は気持ちがいいが現実にはじっさい、かま猫君も仕事がなくなってしまう訳だし、ほかの猫にも妻子がいるのかもしれない。

まあ、猫はあまり仕事に向いているとも思えないので、暖かいところで昼寝しているのが一番だと思う。

 

 

小屋にも悩み事があるのだ。パート2(解決編)

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H打君はいろんな経験のある大工で、最近の新建材の家が嫌いな男で、野遊びの達人だ。
彼といっしょに川釣りに行くとよく釣れるのである。

丁度良かったので、小屋の補修方法を相談しつつ日頃思っている疑問をいろいろと尋ねてみた。

「壁に粘土を塗りたいんだけど木が腐らないかな?」

「通気性があって粘土が濡れても乾くような構造にしておけば大丈夫です。」

「なるほど。厚さはどれぐらいまでいけるかな?」

「ただの土でも2,3ミリくらいなら塗ることができるから、粘土ならもっと大丈夫。」

「そうか。じゃこの小屋の穴ほげのところに粘土を塗ってもいいだろうか?」

「うーん・・・・・・・・僕は昔、墨壁を塗ったことがあるんですが、その時は、ニカワを湯煎しながら煤を混ぜ込んで、何人かで塗っていくんです。ニカワは冷めると固くなるので、冷めないように容器をお湯につけながら塗ってましたね。

粘土を直接壁に付けると、雨で濡れた時が心配だから、何か膜になるような、そういうニカワと墨を混ぜたようなものがあるといいんでしょうが・・・」

「あ、そうか!ニカワか、ニカワならあるよ。」

と、話は意外な方に進み、とりあえず、ニカワを溶かしてみることに。

ペンチでニカワを細かく切って、カップに入れ、水を注いで湯煎してみる。

「お、溶けてきた!溶けてきた」

「それで、これを何かガーゼのような布に浸けてから、貼り付けてみたらどうでしょうか。」

ぺたん、ぺたんと貼り付けてみるとなかなか良い感じである。

「これで乾いたら硬くなりますよ、補強にもなると思います。」

 

・・・・で、翌日。

乾いたニカワ布はガチンガチンになっていた!

やったー!

という訳で、小屋板壁補修計画も、解決の方向性が見つかり、これからどんどん進んでいくのだ。

ちなみに、ニカワはバイオリンを作る時に接着剤として使うそうである。硬化に時間はかかるが、高い接着力と、部材への浸透性が弦楽器作成に最適らしい。

ウチの小屋も弦楽器クラスになったということで、大変うれしい。

そうゆうことで、ニカワ布をピタピタと貼っていると、とても気持ちが充実する。

このような、自然物由来のニカワとか、柿渋、とかで、作業するときの何とも言えない清々しさは不思議に心を落ち着かせるのである。

「すまんなあ、長いことほっといて」

と小屋に謝りつつペタペタと貼るのである。

このあとは煤の代りに、柿渋と煤を混ぜた「渋墨」というものを布に塗り、(ニカワは親水性があるそうなので、煤を混ぜたほうが水に強くなるのでは)その上に寝かしておいた粘土を付けていく計画。

ちなみに、冒頭のきれいな写真は、ニカワを入れたビンにお湯を注いだ時のもの。

剥がれて溶けてゆくニカワの膜に、小さな泡がいっぱい付いて、それはきれいで、不思議な景色だった。

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小屋にも悩み事があるのだ。パート1

私のガラス作業小屋は昭和元年生まれ。

昭和に1925を足すと西暦になるので、1たす1925で西暦1926年生まれ。
今2013年なので、2013ひく1926で、今のお歳は87歳なのだ。

お歳なので、あちこちガタがきているのはしょうがない。

今、一番の悩みは西側の壁で、道路ばたで、毎日風雨にさらされているので、板壁が薄くなって来ていることだ。

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厚さ5ミリもない薄い板なので、木目の夏時期のやわらかいところが、長年の風雨で侵食され、ついに、あなほげになってしまってきているのだ。

 

西日が差すと内側からはこのように、とてもまぶしい。

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照明代わりになっていいのだが、問題はこれだけ薄くなってくると、おならの音が外に丸聞こえになることだ。

この薄い壁を隔てて、西側は、文句なしの公衆用道路がばーんと直線で通っている。

このスケスケの板壁の内側で、会心の一撃を放とうものなら、公衆用道路を通行している人が、まず、びっくりする。

びっくりするぐらいならいいが匂いまでもれては迷惑というものだ。

そこで、この壁をなんとかしたいのであるが、これが難しい。

なにせ薄い、とにかく夏木目がぺらぺらに薄い、ので内側からコンパネなど打ちつけると、絶対にベキ割れてしまうだろう。

外側からトタンなど打ち付ける手もあるのだが、長年這わせてきたツタをはがして、また最初からやり直さないといけない。

 

私としてはどうせ、ほっとけば自然に環ってしまうような、ぼろ小屋だから、できれば自然な素材で直してやりたい。

防火を兼ねて土壁にできたら、防音効果もあるだろうから、できればその線でいきたい。

などど、考えていたのだけど、まずはこの穴ほげをどうやって、手をつけたらいいものか悩みの種で、どうにも手が出ないのであった。

と悩んでるところに、大工のH打君が遊びに来た。

(長くなりそうなので、続きはまた明日書く)