ガラス窯の灯油タンクが漏れだしたという、できれば起きてほしくない話。
私の硝子窯の灯油タンクはドラム缶を使っているのだが、このところ、
「なんか油臭いな〜?」
と思いつつ、仕事をしていた。
「ま、この暑さのせいか」
と、
原因究明をほっといたのだが。
やっぱり、どうも臭い!と、ドラム缶まわりを調べてみたら、なんと!
ドラム缶の底部から、灯油がポターリ、ポターリと漏れているではないか!
こりゃーいかん、キケンだ!
まだまだ作らなきゃいけないのもたくさんあるが、キケンはほっとく訳にはいかない。
制作を中止し、直ちに硝子窯の緊急停止ボタンを押す。
が、そんなものはないので、
頭の中でボタンを押して(頭の中で)アラームを鳴らしつつ、バーナーの火を落としルツボに熔けているガラス種を全部掻い出しドラム缶底に設けてあったドレン口から灯油を回収する。
さて、一息ついたところで、「なぜ、こんなに、予想よりも早くサビたのか?」を考えてみる。
灯油を回収しながら、思ったのは、ドラム缶内部で結露し、その水が底に溜まって、サビが進んだのでは?
という、推測。
しかし、よく考えると、それでも早いサビの進み具合だ。
家のほうの灯油ボイラーのタンクも鉄製だが、外観はサビがだいぶ出てきているが、内部は大丈夫だ。
もう20数年使っている。
ドラム缶も同じく鉄製で、こちらは、18年ほどになる。
こっちのほうが短いのに、穴が空くほど錆びるとは!?
ひょっとして、これが、「異種金属接触腐食」の実例ではなかろうか?
「異種金属接触腐食」とは?
このリンク 「ステンレスと異種金属との接触についての問題点」
を読んでいただくとわかるが、異なる種類(正しくは異なるイオン化傾向)の金属を接触させたままにしていると、錆びやすい(イオンになりやすい)金属のほうが、サビ出す。
というものだ。水分などが多く、錆びやすい環境にあれば酸化(サビ)は更に進みやすい。
で、お前のドラム缶のどこが「異種金属接触」なんだ?というと、
ドラム缶の底に、燃料コックと、ドレンコックをつけてあるのだが、差し込んだだけでは燃料が漏れるので、鉄工所さんに頼んで、接続のための「つば」(いわゆるフランジ)をステンレスで、作ってもらって接続してある。
つまり、このステン製のフランジ(つば)と、鉄製のドラム缶本体が、異種金属接触を起こしている。のである。
硝子窯を築いたとき、お金があまりなかったので、ステンじゃなく、鉄製のドラム缶を燃料タンクにしたツケが18年後にまわってきたのか。
なんと愚かな事よ。まあ原発よりはマシだが。
もっとも、その頃は、ネット環境もなかったので、ステンのドラム缶を地金屋で、探すのも大変だっただろうが。
今では、楽天やアマゾンで平気で売っている。
JFE ステンレスドラム缶オープン缶 (×1缶) KD200B
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楽な時代になったものだ。
金さえあれば楽勝である。
未だに金はないが、買わないとガラスが作れない。
*ところで、ステンレスは、合金なのだが、鉄とのイオン化傾向は違うのか?という疑問が浮かんだが、それもこの記事に書いてあった。
ステンレスは合金ですから、イオン化列には見当たりませんが、イオン化列に当てはめますと銅(Cu)と同じくらいです。
「ステンレスと異種金属との接触についての問題点」
なるほど。ありがとうございます。